金融
みずほ銀行、相次いだシステム障害 脆弱性を直視しない体質が課題
みずほ銀行で相次いだシステム障害について、親会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長は定時株主総会で「私の責任のもとに一致団結して対応する」と約束した。ただ、過去にもATMでキャッシュカードが取り込まれる同様の障害を起こしながら、抜本的対策を取らなかった経緯が今回明らかになっている。顧客目線の弱さは深刻で、信頼回復への道のりは平坦(へいたん)ではない。
株主総会では、昨年も質問に立ちシステム面の弱さを指摘したという男性株主が「1年経ってみると、人的手配が不足していたように報道されている」と、対策が講じられなかったことに不満をあらわにした。坂井氏は「指摘をたまわったにもかかわらず障害を起こしたことをおわびしたい」と陳謝。今後は現場、本部を問わず組織全体で障害対応力の向上を図る姿勢を強調した。
みずほの第三者委員会が今月まとめた報告書には、システム障害による通帳やカードの取り込みが2018年6月に1821件、19年12月に187件あったにも関わらず、「公表基準に達していない」として発表しなかった事実が盛り込まれた。
報告書はトラブルをATMの仕様変更につなげられなかった組織について、「顧客への影響に対する感度の低さが見て取れる」と指摘。再発防止策を講じていれば、今年2月28日の障害で起きた5000件超の取り込みのうち9割は防げたと推定する。