JCと聞くと、青年会議所を思い浮かべる人もいるかもしれないが、今回は女子中学生の略称だ。JKは女子高生。そのJCとJKの間で今年上半期にトレンドになった「JC・JK流行語大賞」が発表された。コトバ部門の大賞に選ばれたのは「はにゃ？」。モノ部門は「地球グミ」、ヒト部門では「Ado」が大賞になった。いずれも大人世代にとっては、文字通り「はにゃ？」と思わずにはいられないトレンドが並んだ。
困ったときの「はにゃ？」
女子中高生向けのマーケティング支援などを手がける「AMF」（東京都港区）によると、1位になった「はにゃ」の生みの親は、ロバート秋山さんや篠原涼子さんら多数の有名人のものまねでも知られるお笑い芸人の丸山礼さん。「あれ？」と疑問を感じた時などに使われるという。とぼける時や意味が理解できなかった時などに「はにゃ？」と言えば、面白さとかわいさを両方表現できるのだそうだ。
動画投稿サイトのYouTube（ユーチューブ）やSNSのInstagram（インスタグラム）でコーディネートを発信している丸山さんは「実は発祥は諸説あるようなのですが、私の『美術部員・井上千晶』というキャラのネタの中で取り入れていたところ、たくさんの方々に使っていただいてとっても光栄です！はにゃ！？」とコメントしている。
続く2位は「アセアセ」。これは、焦っている時に流れる「汗」に由来し、「やばい」などと組み合わせて使うことができる汎用性の高い言葉のようだ。例えば、「明日のテストやばい～アセアセ」といった具合だ。
3位に入ったのは「ひよってるやついる？」。和久井健さんの人気コミック「東京卍リベンジャーズ」で使われているセリフだという。動画投稿アプリTikTok（ティックトック）で「ひよってやついる？いねえーよな」というセリフが使われた音源がバズったことから、学校の体育祭や試合前などで気合を入れる時に多用されるようになった。
念のため申し添えれば、「バズった」というのは、ネット上で口コミなどを通して話題になったことを意味している。インターネット上でアクセスが殺到した時に「バズる」「バズった」などと表現され、人口に膾炙（かいしゃ）しつつある。JC・JKにとっては流行語というよりも、もはや日常の言葉といえる。
そのほか、モノ部門では品切れが続出している人気の菓子「地球グミ」が1位に。アプリ部門からは「ストーリーエフェクト（Instagram）」が大賞に選ばれた。インスタグラムのストーリーズ機能の一部で、数あるエフェクトの中から特にグリッターの加工が人気なことから「グリッターエフェクト」とも呼ばれている。その機能を使っていない人には何のことだが想像もつかないが、グリッター（きらめき・輝き）という言葉が示すように、顔などにキラキラした加工を施すことで「盛る」ことができるという。念のため補足すれば、若者の間で使われる「盛る」は、よりかわいらしく見せることなどを意味する。
ヒト部門の1位になった「Ado」さんは、日本の女性歌手。初のオリジナル曲「うっせえわ」がYouTube再生回数1.5億回を超える大ヒットになった。 多くのインフルエンサーが「歌ってみた動画」をアップし、2021年上半期を代表する曲となった。リリース当時はAdoさんも女子高生だっただけに、「同世代なのにすごすぎる」と多くの女子中高生から注目を集めたようだ。
元“女子高生社長”で知られる椎木里佳さんを中心に、女子中高生向けのマーケティング支援などを手がける「AMF」と、トレンドのリサーチが得意な全国の女子中高生からなるマーケティング集団「JCJK調査隊」の精鋭メンバー100人の選考結果をもとにトレンドをまとめたという「JC・JK流行語大賞」。大人世代にはあまりなじみのないトレンドも少なくなかったかもしれない。
ちなみに、コトバ部門の4位にランクインした「さぁせぇん」は、YouTuberの中町綾さんがよく使っている言葉で、女子中高生の間で「どこまで崩して言えるか」を友達と競うときなどに使用されているという。謝らなくても良い時にあえて「さぁせぇん」などと使うのだそうだ。
「さぁせぇん。女子中高生の流行は難しくて理解が追い付かないです。アセアセ」
慣れない言葉を使ってみたが、正しい使い方だったのだろうか。
