メーカー

出光が将来見据え給油所変革 ブランドの統一・EV向け活用など視野

 石油元売り国内2位の出光興産が、給油所ブランドの統一に向けて動き出している。平成31年4月の昭和シェル石油との経営統合後も両社の給油所ブランドは併存してきたが、令和5年末までに新ブランドの「アポロステーション」に切り替える。車離れやエコカー普及を背景とした石油製品の需要減は給油所のあり方に変革を促しており、「新しいブランドを掲げるだけではなく、将来に向かった新たな拠点づくり」(木藤俊一社長)で生き残れるか、正念場を迎えている。

 東京都大田区の「環八通り」沿いにある給油所「セルフ南蒲田店」。改装工事を経て、6月11日にアポロステーションとして生まれ変わったばかりだ。

 かつては従業員が給油作業などを行うフルサービス式だったが、改装でセルフ式になった。店長の三浦由起夫さん(55)は「利用客からは『以前の名残はあるけれど、カラーリングがとても明るくなった』と受けが良い」と手応えを示す。

 出光おなじみの太陽神アポロをモチーフとしたアイコンを継承する一方、光の束のグラデーション(色調の段階的変化)の線を新たにデザインし、「快活なイメージを打ち出した」と出光の渡部務・販売促進課長。従業員のユニホームも、アポロステーションへの切り替えが済んだ給油所から順次刷新する。

 出光の国内の給油所数は約6300カ所。首位であるENEOS(エネオス)の約1万2600カ所には大きく水をあけられているが、国内2番手に位置する。

 当面は、旧出光系と旧昭シェル系にアポロステーションを加えた3つのブランドが併存するが、毎年約2000カ所を衣替えし、令和5年末までに全給油所をアポロステーションにする。渡部氏は「今年4月から6月末までの間で、既存ブランドからの切り替えを中心に、アポロステーションの数は520~530カ所に達した」と話す。

 ガソリン代の支払いなどに使う会員カードは、4月に新たに「アポロステーションカード」を投入。3ブランドの給油所で会員カードの特典を相互に得られるようにした。これまで旧昭シェル系の給油所の利用客向けに展開していた、クーポンやお得な情報を提供するモバイル端末向けアプリも、新たなものを今年秋以降に展開する。

 出光は、給油所ネットワークを地域に不可欠なサービスを手掛ける「スマートよろずや」とする構想を掲げている。脱炭素の潮流を踏まえ、2月には超小型の電気自動車(EV)事業への参入も発表。カーシェアリングやサブスクリプション(定額課金)を念頭に、EV事業での給油所の活用策を今後詰める。

 渡部氏は「この2~3年で、しっかりと(取り組みを)やり上げていく。約6300カ所の給油所を1カ所も減らしたくない」と語る。(森田晶宏)

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング