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直前で運営計画大幅修正 疲労困憊の五輪組織委

 東京五輪は開幕が目前に迫る中で、大半の会場が無観客開催という急展開を見せた。新型コロナウイルスの感染状況と大会をめぐるさまざまな思惑に翻弄され続ける組織委は、再び運営計画の大幅な修正を迫られる。

 ある競技会場の担当者は「無観客のケースも想定し、両にらみで準備は進めてきた」と語る。その分、日々の作業量は増え、別の担当者は「1年以上、ずっと前が見えない状況で進むのはつらい」と苦しい胸の内を明かす。

 約7万人の大会ボランティア、フルスタジアム(満員)想定で延べ60万人を確保していた民間警備員の配置計画は練り直しとなる。繰り返される方針転換に、組織委は開幕前から疲弊しているのが実情だ。観客の有無など重要事項の決定が政治主導となっているストレスは大きく、幹部からは「なぜこうも方針がぶれるのか。現場の声をもう少し聞いてくれていれば」と恨み節も漏れた。

 ただし、マイナス面ばかりでもない。5月時点で1日あたり最大で医師230人、看護師310人を見込んでいた医療従事者については一定の削減が見込まれ、地域医療への負荷が減る。最寄り駅から会場までをつなぐ観客輸送用のシャトルバスも不要になる。

 武藤敏郎事務総長が「コロナ前の最大の課題」と懸念していた暑さ対策では、観客対応が不要となり現場の負担は小さくなる。会場周辺の人流も抑制され、感染拡大リスクは軽減される。「安全・安心」な大会に一歩近づくことも確かだ。(森本利優)

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