価値共創

「mixiは90%以上の確率でFacebookになれた」米VC代表が語る課題と展望

SankeiBiz編集部
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mixi がFacebookになれなかった理由

――SNS(会員制交流サイト)の老舗であるmixi(ミクシィ)は、米国発のFacebook(フェイスブック)のように世界を席巻することはできませんでした

アニス氏:

 日本ではmixiがSNSの火付け役でした。そのmixiがなぜFacebookになれなかったのか。おそらくグローバルで戦うことに対してそこまでアグレッシブではなかったであろうことと、できるはずなのに踏み出す挑戦力が十分ではなかったのではと思うのです。mixiが持っていたコンセプトから言っても、90%以上の確率でFacebookになれたと思っています。両者の差はグローバル展開するアグレッシブな勇気や、資金調達などリソースの問題です。

 企業価値が10億ドル(約1000億円)を超える「ユニコーン」と呼ばれる未公開企業が日本で出てきにくい理由は、まず根本的な問題として、日本の人口が1億2000万という、ビジネスが成り立ってしまう人口だということがいえると思います。市場が微妙に大きいので、その中で完結してしまいます。だから日本の外のことまで考える必要がなく、東証一部上場で満足してしまうことが多いです。

 SNSに限らず、ほかの分野でもmixiのようにもったいない前例はあるかと思います。これからの日本の起業家は、ぜひわれわれと相談しながら、もっとグローバルなマーケットに挑戦してほしいと思っています。アメリカのトップ起業家と日本の起業家は、その技術力、質においては何も変わりません。あとはチャンスと勇気です。われわれはそんな起業家の背中を押す役目を担っていると思っています。

スタートアップの「共同創業者」

――日本のベンチャー企業、起業を志す人にメッセージがありましたらお聞かせください

アニス氏:

 起業家の皆さんもコロナ禍で事業の成長抑制を余儀なくされ、大変な思いだったと思います。そのコロナ禍もワクチン接種が進めば、徐々に抑えられていくと思っています。経済が再び成長していくポストコロナを見据えた準備をしないといけません。新しい資金、新しい企画を準備し、加速の波に乗っていく必要があります。

 どのような成長をしていけばいいか。そのタイムラインはどうすればいいのか。

 今後の成長に必要になってくるのが資金です。われわれとしても、それぞれの企業を助けていければと思っています。そのためのメンタリング(相談)も行っています。

 日本のスタートアップや、これから起業を考えている皆さんには、ぜひ最初から大きな夢をもってほしいと思います。そうすれば必ず、アジアのトップに出ることができます。自信をもって、その技術を世界にぶつけてほしいです。ペガサス・テック・ベンチャーズとしても全力でサポートしていきます。

SankeiBiz編集部
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