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酒類取引の停止に収まらぬ批判 「物流止められぬ」、お願い撤回へ

 新型コロナウイルス対策で、酒類の提供停止に応じない飲食店への政府対応をめぐる批判が収まらず、西村康稔経済再生担当相は13日、取引金融機関からの働きかけを求める発言を陳謝。自粛要請を守っていない飲食店に対する酒類販売事業者への取引停止のお願いも撤回される見通しとなった。一連の取り組みをめぐっては、苦境を耐え忍んできた関西の酒類販売事業者や飲食店からも不満の声が上がっていた。

 「どういう提供の仕方をするのか、飲食店の確約を取って酒を売ることは不可能。販売を止めるのは無理な話だ」。大阪府酒造組合の山野久幸理事長(65)は今回の取引停止について、実効性の面から疑問を投げかけていた。地域内で取引を止めてもインターネットで販売網は全国に広がっており、酒の物流は途絶えないためだという。

 政府は8日、酒の提供自粛などに応じない飲食店との取引停止を酒類販売事業者に要請。府酒造組合は組合員に周知したが、実際に取引を停止することまではあえて求めなかったという。「取引先同士で築いてきたパイプが切れるなど禍根を残しかねない」。山野理事長は業界内の信頼関係が崩れることを懸念していた。

 政府は4月以降、酒類販売事業者などへの支援策として、コロナで50%以上売り上げが減少した中小法人と個人事業者を対象に1カ月あたり最大20万円を給付。大阪府ではこの支援金給付を受けていることなどを条件に、10万~40万円の追加支援金制度を設けている。ただ、これらは基本的に赤字を補う制度にすぎず、苦境に変わりはない。

 「酒が目の敵にされている。不条理だ」と現状に憤っていたのは、大阪、京都、兵庫など約8千の飲食店と取引がある酒類卸売会社「名畑(なばた)」(大阪市北区)社長の名畑豊さん(58)。同社の取引量はコロナ禍で7~8割減少。酒類を提供できるよう取引先に対し、大阪府の認証制度の取得をサポートするなどしており、「店もお客さんも感染対策を取っていれば飲食店は危険な場所ではない」と訴える。

 大阪・ミナミのバー「SubculBar『なぅ!!』」は、営業エリアが緊急事態宣言から蔓延防止等重点措置に移行した後に自治体の要請に沿う形で酒の提供を再開したところ、売り上げが宣言期間中の2倍になったという。同店オーナー、加藤輝昭さん(40)は「酒のあるなしで天と地ほどの差が出る。酒を出さないとつぶれてしまう店もある」と話していた。

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