テクノロジー

宇宙ベンチャーのispace 月着陸船組み立てを開始

 宇宙ベンチャーのispace(アイスペース、東京都中央区)は14日、来年後半に打ち上げ予定の月着陸船(ランダー)のフライトモデルの組み立てを始めたと発表した。フライトモデルとは実際に月に着陸する実機のことで、ドイツで組み立てられる。打ち上げに向けた準備の最終段階にさしかかった。

 フライトモデルの組み立てに先立ち、「熱構造モデル」と呼ばれる試作機を使った環境試験を千葉県成田市にある日本航空の施設などで4月から実施。月着陸船や使われている部品などが熱や振動などに耐えられるかを調べた。その結果、大きな問題は確認されず、成功したという。

 フライトモデルの脚部などには、シチズン時計が開発した新素材「スーパーチタニウム」を採用した。本来は軟らかい素材であるチタニウムに独自の表面硬化技術を施し、ステンレスの5倍以上の表面硬度を実現。傷がつきにくく、さびにくいのが特徴とされる。

 フライトモデルは今年中に組み立てを終え、来年前半の環境試験を経て、打ち上げ場所となる米国に運ばれる。

 同日のオンライン会見で、ispaceの袴田武史最高経営責任者(CEO)は「さまざまな想定をしながら、あきらめずに着実にミッションの成功に向けて準備を進めたい」とかたった。

 ispaceは来年後半の月着陸船の打ち上げに続き、再来年には同時並行で開発を進めている無人の月探査車(ローバー)を月に送り込む。

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