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老舗豆腐店と早大レスリング部が「アスリート羊羹」開発、きっかけは

 茨城県取手市の老舗豆腐店「染野屋」は、早稲田大レスリング部と共同で「アスリートのための羊羹(ようかん)」を開発している。売り上げの一部は同部の運営資金として強化費や遠征費などに充ててもらう考えだ。8代目、染野屋半次郎こと小野篤人社長(48)は「当社と当社のお客さまが一丸となって若いアスリートを支えていきたい」と話している。

 染野屋は文久2(1862)年の創業で、現在は関東を中心に約100台の移動販売車が豆腐などの大豆製品を販売している。

 共同開発のきっかけは、東京五輪の開会式で旗手を務める早大レスリング部の須崎優衣選手(22)から今年5月、染野屋に電話があったことだった。

 染野屋によると、コロナ禍のため多くの大学運動部で部費を払う新入部員の勧誘が進まない上、大会の中止が相次いで試合のチケット収入などが大幅に減少。大学からの援助もなくなり、部の運営資金確保が難しくなっているという。

 須崎選手が染野屋に電話したのも、そうした窮状を訴えるためだった。小野社長は「食品メーカーがたくさんあるのに連絡が来たのは『家族や大切な人に食べてほしい。商品を売るのでなく伝えていきたい』との企業理念に須崎選手が共感したためらしい」と話す。

 小野社長は二つ返事で支援を了承し、商品を共同開発することになった。須崎選手ら早大レスリング部の希望する商品は最初から羊羹だった。もともと汗を大量に流すアスリートには塩分と糖分の補給が不可欠。「豆の加工なら染野屋の得意な分野」と、開発はとんとん拍子に進んでいった。

 羊羹は縦6・5センチ、横5センチで2個入り。500円程度を想定。8月に販売する考えだ。使用している小豆は国産、甘みを出す甜菜(てんさい)は北海道産、水は生産地に近い栃木県の名水と原料にもこだわった。

 小野社長がアスリート支援に積極的なのは、自らが中学時代から現在までキックボクシングなどの格闘技を続けているという理由もある。「(早大レスリング部の学生は)自分の後輩みたいで本当にかわいい。損得じゃなくて応援したい」と、“先輩”としての思いもあるようだ。

 さらに「若い人へは積極的に支援したいので、早大の他の運動部でも、他大学でも、文化部の学生でも、声をかけてくれれば大歓迎だ」と話す。すでに染野屋は選手の食事面でのサポートのために、ウエートコントロールに適した同社の植物性肉「ソミート」シリーズを大量に早大レスリング部に送っているという。

 今後は、アスリート向けのどら焼きやカステラなどの開発も検討しており、染野屋の移動販売車やインターネットなどを通じて販売する予定だ。小野社長は「コロナ禍で無観客試合が増える中、少しでも観客席から応援する気持ちになるため、継続して支援していきたい」と話している。(篠崎理)

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