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在りし日の急行列車を再現…東武鉄道が200型車両“リバイバル”で需要喚起

SankeiBiz編集部
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 アニメ映画「千と千尋の神隠し」(宮崎駿監督)が昨夏、映画館でリバイバル上映され、興収が8億8000万円も上積みされたが、鉄道業界でも「リバイバル」が需要喚起に一役買っているようだ。こちらはカラーリングの復刻。東武鉄道は伊勢崎線系統の特急「りょうもう」の車両に在りし日の急行列車時代のカラーリングを再現し、8月7日から運行を開始するという。東武鉄道の担当者は「懐かしい思いを抱いていただきつつ、若い世代には新しい塗装に感じてもらえるのでは」と話している。

部品は半世紀以上前の“骨董品”

 リバイバルカラーは「話題性と需要喚起」(東武鉄道)を目的に行われる。新型コロナウイルス感染拡大による人の流れの停滞や新しい生活様式への変化によって、鉄道事業者も厳しい経営環境下にあるが、「塗装替えはマニアの方にも、一般の方にも好評」(担当者)という。

 リバイバルカラーが施されるのは、1991年に登場した200型車両の2編成。デビュー30年を記念し、前身の急行「りょうもう」時代を彷彿させるカラーリングを再現することになった。白を基調にローズレッドのラインを配した紅白のカラーリングは先代の1800系車両から続く伝統だが、200形は流線形のデザインが特徴で、配色も1800系とは異なる。

 東武鉄道によると、先代の1800系は1969年から伊勢崎線系統の急行列車専用車両として運行を開始。パノラミックウインドウを用いた独特の正面スタイルを採用し、側面には幅1.5メートルの広い窓が取り付けられた。日本で初めて車内に飲料水の自動販売機を設置した斬新な車両で、「ビジネス急行」として活躍。デビューから29年後の1998年に現行の200型へとバトンタッチした。

 200型は見た目こそシャープな印象で現代的なデザインだが、一部の編成には、1956年にデビューした1720系「デラックスロマンスカー」(DRC)の部品が流用されているという。「床下機器」と呼ばれる部品で、車体の下の足回りに当たる。それだけに、東武鉄道の担当者は200型について「大事に扱ってきた」と話す。

 200型にデラックスロマンスカーの機器が使われているのは、鉄道ファンなら「皆さん知っている」(担当者)有名な話だそうだが、半世紀以上も前に製造された部品が現役で使われているとは驚きだ。

 その現役の200形も「トップナンバー」と呼ばれる第1編成はすでに現役を退き、廃車されている。代わりに任に就いたのが新型の500系「Revaty」(リバティ)という車両で、列車の愛称も「リバティりょうもう」と改められた。先代1800系の後を継いだ200型もデビューから30年が経過。500系車両への置き換えが始まっている。世代交代の時期を意識して、去就を気にする鉄道ファンも少なくないようだ。

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