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次世代のたんぱく質は「浮草」で 味の素が描くベジタブルプロテインの新形態

SankeiBiz編集部
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 たんぱく質を含む60種類もの栄養素をコップ1杯で手軽に摂れる-。「スーパーフード」の最先端ともいえるベジタブルドリンクを味の素が開発、30日から自社の通販サイトで発売する。商品名は主成分であるウキクサ(浮草)の名に由来する「Mankai」(マンカイ)。栄養価の高さに加え、環境に負荷をかけずに育成できる“次世代のベジタブルプロテイン”として注目を集める葉野菜だ。同社の西井孝明社長は製品発表会で「環境負荷の問題やたんぱく質危機など、食をめぐる社会課題を解決する起爆剤となるような商材に育てたい」と強調した。

 牛乳や卵をしのぐたんぱく質含有量

 ドリンクの主成分である葉野菜マンカイは「ウォルフィア」という学名で、「ミジンコウキクサ」という和名も持つ。世界最小のウキクサで、葉の直径0.5ミリしかない。タイやベトナム、ラオスなどの東南アジア諸国では古くから食用に用いられてきたという。

 ビタミンやミネラル、食物繊維のほか、オメガ3脂肪酸、ポリフェノールなど60種類もの栄養素が凝縮されたスーパーフードで、一般的な食品より栄養価が高い食品とされる。特徴的なのは、たんぱく質の含有量。葉野菜でありながら構成成分の40%がたんぱく質で、100グラムあたりの含有量は卵や牛乳をはるかにしのぐ。たんぱく質の栄養価を示す指標である「アミノ酸スコア」は、完全栄養食といわれる卵に近い。

 ウォルフィアの栄養価に着目したイスラエルの農学者が分離し、増殖した特異株をヘブライ語で「神様が授けてくれるもの」という意味をもつ「マンカイ」と名付けたという。

 マンカイは成長するスピードも早く、太陽光と必要最低限の水、肥料による水耕栽培でわずか72時間のうちに2倍に増殖する。2030年には不足するといわれているたんぱく質を環境に負荷をかけずに供給できる革新的な食資源として、国際的な研究機関からも注目を集めている。

 冷凍食品や外食への展開も

 マンカイの育成者権をもち、独自の水耕栽培システムを開発したイスラエルのベンチャー企業であるヒノマン社に対し、味の素は2017年に1500万米ドル(17億円)を出資。日本国内での独占販売権を取得し、ベジタブルドリンク「Mankai」の製品化に漕ぎつけた。

 味の素の「Mankai」は乾燥させた粉末タイプで、120cc程度の水や牛乳に混ぜて飲めるほか、さまざまな料理にも応用できる。スティック1本で1日分の野菜目標摂取量である350グラムの約3分の1と、2.2グラムのたんぱく質を摂ることができる。野菜本来の濃厚な味わいをそのままに、抹茶風味に仕上げている。

 西井社長はベジタブルドリンクを「第1弾」と位置付け、2025年までの売り上げ目標を50億円と想定。冷凍・加工食品やスープ、麺類、菓子類などの同社製品に応用するほか、コンビニ製品や外食といった「BtoC」にも展開し、2030年には売り上げを100億円まで拡大させたい考えだ。

 ヒノマン社のロン・サルペーター最高経営責任者(CEO)は、急速に拡大しているスーパーフード市場と栄養補助食品市場を見据え、「マンカイはこれらの市場に取って代わる可能性がある」との見解を示した。

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