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物流・流通DX、事業化の動き パナや三菱商事系がAIでサプライチェーン効率化

 人工知能(AI)などの先端デジタル技術を使ってサプライチェーン(供給網)の課題を解決する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」サービスを事業化する動きが相次いでいる。パナソニックは物流・流通現場の作業状況の画像データをAIで分析し、生産性の向上を支援する事業を本格化する。三菱商事も、NTTと共同出資で新設したインダストリー・ワン(東京都千代田区)が今月から食品流通をAIなどで効率化するサービスの展開を始めた。

 パナソニックの物流・流通向けDXサービスは、物流倉庫から店頭までの従業員の作業や動線、商品の動きなどをセンサーやカメラを使って把握。そのデータをAIで分析し、在庫管理や輸送、人員配置、商品陳列などに生かしてもらう仕組みだ。

 同社によると、これまで物流や流通の現場では従業員の経験に頼って業務計画が作成・運用されており、今回のサービスを適用することで業務効率を大幅に改善できる見込み。

 サービス提供に当たっては各業務を最適化する専用アプリを開発しており、例えば輸配送アプリで荷物量を予測し、人員管理のアプリで庫内作業や荷物の積み込み作業に最適な要員計画を策定することで、熟練者が数十時間かけていた1カ月分の勤務シフト作成の時間を約7割削減できるという。

 輸送や倉庫での動線を最適化するアプリなどは既に販売しており、ラインアップを拡充。継続課金サービスとして展開し収益性を高める。

 またパナソニックは、サプライチェーン管理の効率化を手掛ける米ソフトウエア会社、ブルーヨンダーの完全子会社化を進めており、多数の世界大手メーカーを顧客に持つ同社との連携で相乗効果も狙う。

 一方、三菱商事は、メーカーや卸・小売りといった食品流通分野の各社が持つ在庫、受発注などのデータと気象予測などの外部情報を連携するシステム基盤をNTTグループと共同開発したほか、全額出資子会社のエムシーデジタル(東京都千代田区)と独自のAIも開発。このAIを使って約1万の商品を対象に三菱食品で実施した効率化の実証実験では、物流センターの在庫を最大4割削減するとともに欠品率も低下させる成果を挙げており、こうした技術やノウハウに基づくDXサービスをインダストリー・ワンを通じて提供していく。

 物流業界は商品管理や配送の人手不足に加え、新型コロナウイルスの拡大に伴う外出自粛などによるインターネット販売の需要拡大などもあり、業務改革のニーズが高まっている。

 先月には、電子商取引(EC)大手の楽天グループが、搬送システムなどの自動化技術に強みを持つダイフクと提携。商品を在庫棚から取り出すピッキングや搬送システムの導入・運用などで協力し、物流センターの運用コストの削減につなげるなどの取り組みも出てきた。

 今後、サプライチェーンを効率化する動きは幅広い業種に広がる見込みで、DXサービスの受注競争も熱を帯びそうだ。

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