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GMの「EV車発火リコール騒動」で露呈した“韓国製バッテリー”の問題点

 ■LG社製のバッテリーが「発火の恐れ」

 7月23日、米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)は、電気自動車(EV)モデルの“シボレー・ボルトEV”のバッテリーから発火する恐れがあるとしてリコール(回収・無償修理)を米国運輸省の道路交通安全局(NHTSA)に届け出た。過去1年間でシボレー・ボルトEVのリコールは2回目だ。

 今回のリコール問題の影響は大きい。まず、GMの電動化にとって痛手だ。シボレー・ボルトEVはGMが他のモデルの電動化を進めるための基礎的な役割を担ってきた。次に、問題のバッテリーを製造したLG化学およびそのグループ会社などの韓国バッテリー業界にとって、今回の発火問題は素材面を含めバッテリー製造に関する基礎的な技術に不安があることを利害関係者に示す機会になった。

 見方を変えると韓国企業は、価格競争力と、安心と安全を支える基礎的な製造技術の両立が難しい。LG化学が発火問題の迅速かつ抜本的な解決が難しい場合には、傘下企業の株式新規公開や研究開発体制強化のための資金調達は難航する恐れがある。それは、車載バッテリー市場における中国企業のシェア拡大を勢いづかせる要因になるだろう。

 ■EVへのシフトを図るGMにとって大きな痛手

 今回のリコール問題がGMのEV戦略に与える影響は大きい。なぜなら、GMにとってEVシフトをはじめとする自動車の電動化は、すり合わせ技術の弱さから脱却して成長を目指す重要なチャンスだからだ。

 2008年9月15日に発生した“リーマンショック”によって、自動車に加えて金融事業に注力したGMの経営は行き詰まった。2009年6月にGMは自力での再建をあきらめて“連邦破産法11条(通称、チャプター・イレブン)”を申請した。それによってGMは国有化され、2013年12月に国有化は終了した。

 第2次世界大戦後の米国経済にとって、GMは自動車産業を象徴する企業であり、重要な雇用基盤の役割を果たしてきた。それゆえ、リーマンショック後の経済環境において米国政府は国有化によるGMの経営再建を重視し、雇用の回復につなげようとした。

 2014年1月に技術畑出身のメアリー・バーラ氏がCEOに就任したことによって、GMは転換点を迎えた。就任直後バーラCEOが対応したのがリコール問題への対応だった。2001年頃からGMは完成車の技術的な欠陥を把握していたにもかかわらず、対応をとらなかった。

 ■米国の代表格メーカーでさえ、安全な車を作るのは難しい

 その背景には、GMがモノづくりよりも、金融ビジネスに傾斜したことがある。特に、2001年後半から2005年半ばごろまでの米国経済で、“住宅バブル”が発生し、膨張したことは大きい。資産価格の上昇をよりどころにして金融機関は貸し出しを増やし、それを元手にして米国の家計は自動車などへの消費を増やした。

 その状況下、GMは、自動車販売金融事業などを手掛けるかつてのGMAC(ジーマック)を運営した。GMACは、短期の資金調達を行い、それをもとに消費者により期間の長い資金を貸し付けて利ざやを稼ぎ、収益を獲得した。その考えが強くなった結果、GMは技術面への問題、欠陥などに真正面から向き合うことが難しくなったと考えられる。

 逆に言えば、米国の自動車産業の象徴だったGMでさえ、1万点もの部品が使われるエンジンをはじめ約3万点もの部品をすり合わせて安心、安全な自動車を生産することは容易ではない。そう考えると、世界的なEVシフトはGMが成長を目指すための“渡りに船”だ。

 ■GMがLG化学を選んだ「価格の低さ」

 2016年にGMは韓国のLG化学から車載バッテリーなどを調達し、シボレー・ボルトEVの生産を始めた。GMがLG化学を選んだ理由は、バッテリー価格の低さだろう。評価の方法にもよるがEVの価格のうち3~4割をバッテリーが占めるとの見方がある。バッテリーの調達価格の引き上げは、完成車メーカーが利益率を高めるための重要な取り組みの一つだ。

 シボレー・ボルトEV以降、GMとLG化学およびLGエナジーソリューションの関係は強化されている。その象徴が、GMがLGエナジーソリューションとの合弁事業によって開発したEVプラットフォームの“アルティウム”だ。LGエナジーソリューションは車載バッテリー事業の体制強化のために株式の新規公開を計画している。

 アルティウムではバッテリーパックを水平、あるいは垂直に並べることによって、車種に応じたバッテリー性能の最適化が可能だ。アルティウムは、かつて米国で人気を得た“ハマー”のSUVにも用いられる。さらにGMはアルティウムのアーキテクチャに自動運転など先端の技術を搭載したEV生産を目指している。それによって、2035年までにGMは全乗用車をゼロ・エミッション車にする方針だ。

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