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被害総額は「漫画村」超え…海賊版に課金・広告収入を奪われるマンガアプリ

SankeiBiz編集部
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 新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要を受け、電子書籍の市場が拡大している。一方、人気漫画をインターネット上に無断で公開する「海賊版サイト」の被害が激増しており、その被害総額は、国内最大規模の海賊版サイトだった「漫画村」(閉鎖)の推定被害額(3200億円)をも上回るとみられている。“魔の手”は従来の出版物にとどまらず、正規の方法でスマートフォンに漫画を配信する「マンガアプリ」にも伸びている。

 IT関連のメディア事業を手掛けるインプレスの調査によると電子版の本、漫画、写真集、雑誌、マンガアプリの課金、定額制読み放題サービスの利用料などを合計した電子書籍の2020年度市場規模は4821億円で、前年から1072億円の大幅増だった。市場規模の83.0%にあたる4002億円は漫画が占めた。漫画は前年の2989億円から大きく伸びており、市場全体を押し上げる原動力になった。

 順風満帆に見える電子漫画だが、懸念されるのがマンガアプリの広告市場だ。市場規模は前年から50億円増の260億円だが、インプレスは2020年の秋ごろから一部のアプリが海賊版サイトの影響を受けたとしている。

 マンガアプリは無料で1話ずつ配信し、最新話や無料期間が終了したコンテンツを読むときに課金を促すものが多い。アプリ内には広告が掲載されており、広告料は運営会社などの収益になる。

 集英社の「少年ジャンプ+」から累計発行部数が1000万部を超える「SPY×FAMILY」(遠藤達哉)などのヒット作が生まれる一方で、1988年から2013年にかけて「週刊漫画サンデー」で連載された「静かなるドン」(新田たつお)が、カカオジャパンの「ピッコマ」でリバイバルヒットするといったケースもあり、さらなる成長が期待されている分野だ。

 基本的なサービスは無料にした上で一部の高付加価値サービスを有料提供するという「フリーミアム」のビジネスモデルと“暇つぶし需要”の相性は良いが、インプレスの担当者は「本来であればマンガアプリを利用してくれるユーザーが、海賊版サイトに流れてしまうパターンが考えられる」と指摘。「マンガアプリの訪問者や滞在時間の減少が課金と広告収入に影響した」と説明する。海賊版サイトは読者がコンテンツに支払う代金だけでなく、読者が広告を見ることによって生じる収入まで奪っているのが現状だ。

 今年1月に改正著作権法が施行され、違法ダウンロードの規制対象がすべての著作物に拡大された。違法にアップロードされたものと知りながら漫画をダウンロードすることも違法だ。

 だが、海賊版対策団体「ABJ」の調査では、利用者の多い海賊版3サイトの合計アクセス数は施行後の1月、2月ともに1億4000万を超えている。

 改正著作権法では1冊ごと、1話ごとに本のデータをダウンロードさせる海賊版サイトには対応できるが、ウェブブラウザで閲覧させる「ストリーミング型」の海賊版サイトには効果が薄いとみられており、対策強化を訴える声は少なくない。

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SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
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