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SDGsってナニ? 4人に3人「知ってる」も…世代間で“格差”浮き彫りに

SankeiBiz編集部
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 持続可能な開発目標「SDGs」の認知度が近年、急速に高まっていることが、損害保険ジャパン(東京)の調査で分かった。特に目立ったのが若者世代の傾向で、中高年代と比較して高い認知度を記録。また、昨今SDGsを意識した製品・サービスの開発が活発化している中、消費者としての意識には世代間で温度差があることも明らかになった。

 急上昇したSDGsの認知度

 調査では、SDGsについて「よく知っている」「まあまあ知っている」と答えた人が全体の4分の3を占め、2年前と比較して40ポイントも増えた。特に15~19歳の認知度が高く、全ての年代の中で最も高い87.2%を記録。「よく知っている」と答えた人も過半数を超え、全年齢層で唯一「よく知っている」の割合が「まあまあ知っている」を上回った。

 文部科学省が告示する「学習指導要領」には、小学校から高校までの教育内容が定められ、学校の教科書や時間割が作られる基礎とされている。2020年に改訂された新学習指導要領に「持続可能な社会の創り手の育成」が明記されたことで、今後さらに学校教育の場でSDGsを学ぶ機会が増えることが予想され、若者世代に広く定着していくとみられる。

 SDGsは、貧困問題の解決や地球環境の保護などを通じ、すべての人が平和と豊かさを享受できる世界を目指す国際目標でSustainable Development Goalsの略。2015年9月の国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載され、加盟国の全会一致で採択された。「飢餓を終わらせ食料安全保障を実現」「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策」など17のゴール・169のターゲットから構成され、政府は2016年5月に首相を本部長、官房長官と外相を副本部長とする「SDGs推進本部」を設置し取り組みを本格化させている。

 平和で持続的な世界を実現するための社会課題に向け、各国が足並みをそろえて取り組もうという目標だが、日本国内でのSDGsの一般認知度は低迷。調査では、2017年時点でSDGsという言葉を「よく知っている」「まあまあ知っている」と答えたのは25.9%と全体の4分の1にとどまり、SDGsを意識した行動をしている人も25.1%。2年後の2019年の調査では認知度が31.2%と微増したものの、意識した行動をしている人は25.4%と横ばいだった。この2年間でSDGsが急速に浸透したことがうかがえる。

 日常生活で社会課題を意識した行動を取っているか尋ねたところ、「意識し行動している」(12.2%)、「何かのきっかけで意識したときに、行動することがある」(27.9%)と約4割が行動に反映させていると回答した。

 全体的に認知度が高まっている背景について、SOMPOリスクマネジメントの米倉寛人グループリーダーは「テレビや街中でもSDGsを目にする機会が増え、企業や地方自治体のSDGsに関する情報発信がなされている」と分析している。

 “消費者”としての意識に世代格差

 企業では昨今、SDGsを念頭に、自然環境にやさしい製品・サービスの開発などが活発化しているが、消費者の意識にはどう表れているのか。SDGsを意識した製品・サービスを購入したいか聞くと、「そう思う」(17.5%)、「ややそう思う」(39.4%)と購入に意欲的な回答が過半数を占め、「どちらでもない」(26.9%)、「分からない」(6.7%)、「あまり思わない」(6.1%)「全く思わない」(3.4%)と続いた。

 調査ではさらに踏み込んだ質問も。SDGsを意識した製品の購入に意欲的だった人を対象に「他の機能が全て同じ場合、価格が高くても社会を良くすることにつながる商品・サービスを選ぶか」尋ねたところ、「価格が高くても選択する」と答えたのは全体で19.5%だった。年代別で見ると、20代が27.4%と最も多く、10代の24.8%が続いた。

 一方、最も少なかったのが50代(12.3%)。40代(13.8%)も若者世代の約半分の割合にとどまり、世代間の格差が浮き彫りとなった。

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SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
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