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新幹線での荷物輸送「貨客混載」、博多-熊本間でも実証実験

 JR九州は24日、九州新幹線を活用して荷物を輸送する「貨客混載事業」で、新たに博多-熊本で実証実験を始めた。同社は列車物流を新たな収益源にすることを目指すが、課題は「量」の確保。青柳俊彦社長はビジネス利用のほか、個人間での急ぎの荷物輸送にも使ってほしいとし、「忘れ物を届けてほしいというのもあり。需要の掘り起こしを図りたい」と話す。

 からし蓮根やあか牛丼、天草の鮮魚。24日、博多駅改札口前に熊本の特産物が並んだ。この日、新幹線を使って届いた産品で、駅を訪れた人が商品を次々と買い求めた。熊本市の田崎市場えびす商店街、宮地徹理事(38)は「販路拡大を模索していた。新しいビジネスが始められるよう、熊本の食材をアピールしたい」と語った。

 九州新幹線での貨客混載事業は5月18日に博多-鹿児島中央でスタートし、今回、実証実験として熊本駅を追加した。新幹線の未活用スペースを活用し、事業者や個人から荷物を預かり輸送するサービスで、博多-鹿児島中央では1つの荷物につき900~2千円で輸送する。博多-熊本では当面、実証実験に参加する事業者の荷物のみ預かり、一般受付は今秋のスタートを目指している。

 これまでの輸送実績では生鮮品や菓子など食品関係が全体の85%を占めた。そのほか、医療機器や工業部品、家族間でのやり取りとみられる衣類や補聴器などもあったという。

 青柳氏は「数がまだまだ出ていないのが実情。生産者やメーカーから(輸送物の)お声かけをいただければ相談に乗る。一刻も早く届けたいニーズに対し、どの程度受けられるかが勝負だ」とアイデアを募る。

 輸送量の拡大を目指し、今後はJR西日本と連携し、広島や新大阪などの主要駅と、九州の駅を結ぶことも検討する。さらに新幹線と航空機をつなぎ、特産物の海外輸出を後押しする構想も描いている。

 輸送サービスをめぐっては、ANAホールディングスが九州などで採れた野菜や果物を旅客機で首都圏に届ける事業を進めるなど、鉄道以外でも取り組みが進む。隠れた需要を掘り起こすことができれば、事業者の新たなビジネスチャンス創出につながる。(一居真由子)

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