現場の風

育休制度の充実化で優秀な人材確保 ボルボ・カー・ジャパン人事総務部ヘッド 末田涼子さん

 --ボルボ・カーズは4月から全世界の工場とオフィスで働く4万人以上の従業員を対象に、先進的な育児休暇制度「ファミリー・ボンド」(家族の絆)を導入した

 「日本では6月から導入した。勤続1年以上の正社員に、基本給の80%で計24週間の休暇を原則与える制度だ。子供が誕生してから3年間にいつでも取得できる。分割しての取得も可能だ。ダイバーシティ(多様性)の促進のため、同性婚のカップルが12歳以下の養子を迎えるケースにも同様に適用される」

 --導入の背景は

 「ボルボの『人を中心としたクルマづくり』という企業理念を浸透させるには、従業員が満足しなければならない。中途入社の採用面接で30~40代の男性からは、仕事と生活の両立を図るワークライフバランス制度や育休制度についてよく質問を受ける。こうしたトレンドに後れを取ってはいけないと実感している」

 --男性には育休取得に消極的な人もいる

 「育休が取得しやすい職場環境を担保する。『仕事がなくなってしまうのではないか』という不安から取得をためらわないよう、職場復帰後のポジションを保証する。夫婦でボルボに勤務する場合でも、同時に取得することが可能だ」

 --電動化や自動運転技術の進化などで自動車業界を取り巻く競争は世界的に激化している

 「育休制度の充実化には、優秀な人材を確保したいという狙いもある。電気自動車(EV)の販売をオンライン経由のみとし、2030年のEV専業化を目指すボルボの仕事に加わりたいという人もいる。企業理念の『人を中心としたクルマづくり』に共鳴し、顧客に向かって仕事ができる人に来てもらいたい」

 すえだ・りょうこ 広島大経済学部卒。平成13年からプレミア・オートモーティブ・グループ(PAG)のボルボ・カー・ジャパン人事マネージャーを担当。人事総務部ディレクター、リテール事業部管理本部長を経て、今年4月から現職。

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