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東京ゲームショウ開幕、バーチャル展示場も 存在感増す中国勢

 世界最大級のゲーム展示会「東京ゲームショウ2021オンライン」が30日開幕した。新型コロナウイルス感染対策でオンラインの動画配信を中心としつつ、仮想現実(VR)空間上のバーチャル展示会場も設け、人気のゲームキャラクターの3次元(3D)の立体映像を楽しめる。会員制交流サイト(SNS)の動画配信者向けに2年ぶりに実際の展示会場も幕張メッセ(千葉市)に用意した。

 会期は10月3日まで。視聴は無料。幕張メッセには34社がブースを設置。セガグループは、10月14日に発売する人気アニメ「鬼滅の刃」を題材にしたゲームを展示した。

 スクウェア・エニックスやカプコンなど、国内外から351の企業や団体が動画配信を実施。海外勢は39の国と地域から191社が参加した。

 存在感を増すのが中国勢だ。中国のIT大手で、ゲーム業界では最大手の騰訊控股(テンセント)をはじめ、20社が参加、最多の韓国勢32社に次ぐ2番目の出展数だった。海外のSNSが遮断されている中国の消費者を意識し、中国の動画サイト向けの動画配信も実施した。

 2020年の中国ゲーム産業報告によると、中国国内ゲーム市場の売上高は前年比20.71%増の2786億8700万元(約4兆8千億円)と日本市場の約2倍。世界市場が約20兆円規模のゲーム産業の中で重要性が高まっている。中国メーカーの海外売上高も3割以上の増加率で、1千億元(1兆7千億円)の大台を突破している。

 中国勢は、テンセントが市場を牽引(けんいん)してきたが、家庭用ゲーム機やスマートフォン、パソコンなどで遊べる「原神」を世界でヒットさせたmiHoYo(ミホヨ)など、新興勢力も台頭している。

 一方で、中国当局は実名や顔認証の登録で未成年者に対する国内規制を強化。ゲーム依存の防止などを理由に、未成年者のネットゲーム利用は金曜、土曜、日曜と祝日の夜8時から9時までに限定する方針を打ち出している。

 海外企業が中国市場に参入するには現地企業と協業することが義務付けられるなど、参入障壁は高く、ゲーム内容など、中国当局のチェックを受ける必要もある。成長が魅力的な中国市場だが、日本勢をはじめとする海外企業にとっては、当局の動向に左右される危うさもはらんでいる。

(高木克聡)

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