金融

米原油先物、6年11カ月ぶり高値 「OPECプラス」追加増産見送り

 石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟の産油国による「OPECプラス」は4日、原油の協調減産を毎月日量40万バレル縮小する従来方針を11月も維持すると決め、一段の減産幅縮小(追加増産)を見送った。石油需給の引き締まり感が意識され、4日のニューヨーク原油先物相場は指標の米国産標準油種(WTI)の11月渡しが前週末比1・74ドル高の1バレル=77・62ドルと約6年11カ月ぶりの高値水準で終了。一時1バレル=78・38ドルに達した。

 最近の原油相場の上昇傾向を受け、事前には追加増産に動くとの観測も一部にあった。ただ、主要産油国は、石油需給を左右する新型コロナウイルスの今後の動向が見通しにくく需給が緩むリスクを懸念して今回は追加増産を見送った。

 暖房用需要が膨らむ冬場に向け、原油相場に上昇圧力が続くとの見方がある。石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之首席エコノミストは「年末までは1バレル=90ドルまで上昇する可能性もある」と指摘した。

 原油相場がさらに上昇すれば、企業や家計の負担増を通じて世界景気に冷や水を浴びせかねない。松野博一官房長官は5日の記者会見で原油相場について「日本経済に及ぼす影響を十分に注視したい」と述べた。

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