メーカー

石油元売り大手が再エネ強化 ENEOSは巨額買収

 他の元売り大手も、再生エネ事業の展開を加速している。

 出光は、太陽光を中心にバイオマスや風力、地熱と多様な再生エネ電源を持ち、建設中の案件は国内に加え北米や東南アジアにもある。再生エネの発電容量は今年3月末時点で50.2万キロワットで、令和12年度までに約8倍の400万キロワットに伸ばす目標を掲げている。一方、今月には子会社が手掛ける太陽光パネルの生産について、中国勢との競合激化を踏まえて来年6月末をめどに撤退することを決めるなど、選択と集中を進めている。

 コスモは、風力発電を新たな柱に育てる考えだ。陸上風力の発電容量は今年6月末時点で30.3万キロワットで、これを早期に50万キロワットまで引き上げる。洋上風力でも複数の案件を手掛けており、令和12年度までに陸上と洋上を合わせて150万キロワット超に拡大することを目指す。

 年初からの原油価格の上昇は在庫評価益を押し上げ、短期的には元売り大手の業績に追い風となる。だが、人口減少やエコカーの普及といった従来の逆風要因に急速な脱炭素の動きが追い打ちをかければ、石油製品の国内需要の減少ペースが速まりかねない。

 「(温室効果ガス排出量を実質ゼロにする)カーボンニュートラルへの方向性はもう変えられないと認識した上で、将来に向けて事業のかじをどう切っていくかは重要な課題」(ENEOSの井上氏)。再生エネ事業の拡大で「最適解」を探り出せるか、各社の経営手腕が問われる。(森田晶宏)

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング