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ポテチ、コーヒー、文具…広がる値上げ 消費増税並み負担に

 新型コロナウイルスの感染拡大が下火となり、経済活動の再開が進む一方で、身近な商品の値上げ発表が相次いでいる。主な理由は原油価格の高騰だ。これにコロナ禍の急激な需要変動による世界的な原材料高や円安などが重なり、年明け以降も幅広い商品やサービスが値上がりする。相次ぐ値上げは家計に重くのしかかり、消費に水を差しそうだ。

 「自助努力だけではコスト増を吸収できない」。5日にポテトチップスなど30品目の出荷価格を来年1月から6~11%値上げすると発表した湖池屋の担当者は、苦渋の決断だったと明かす。

 特に原油高の影響は大きかったという。物流コストが上昇し、調理用油などの原材料費も高騰。そこに北海道の天候不順に伴うジャガイモの収穫量減や最低賃金の引き上げを受けた人件費増も重なった。

 原油高はガソリンや軽油の値段を引き上げるだけでなく、企業の物流コストや工場の燃料費、包装材料費なども押し上げ、工業製品や生鮮食品、クリーニング代など影響は広範囲に及ぶ。味の素冷凍食品も家庭用の冷凍食品14品の出荷価格を来年2月1日納品分から値上げする。

 ワクチン接種の進展など経済活動が再開した中国や欧米で需要が急回復し、原材料不足が生じていることも値上げの一因だ。来年1月からは山崎製パンが小麦価格の高騰を受けて食パンなど247品目を約7・3%値上げするほか、コクヨも鋼材価格の上昇などではさみなど20品目を平均8%引き上げる。

 ネスレ日本は来年1月にコーヒー豆相場の高騰で56品目を10~20%値上げするが、円安で輸入価格が上昇している影響もあるという。

 広がる値上げについて、第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは、「原油高の影響だけでも来年1年間の家計負担は2万8千円程度増える」と指摘。令和元年に消費税が10%に引き上げられたときと同程度の負担増になるという。その上で、足元の原油価格が最終製品やサービスに転嫁されるのは数カ月先のため、「来春にかけて値上げの発表は今後も続くだろう」と話している。

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