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生物の構造・機能まねて製品開発 付着物防ぐ塗料 花王、食虫植物に着目

 生物の優れた構造や機能をまねるバイオミメティクス(生物模倣技術)による製品開発が広がっている。進化や自然淘(とう)汰(た)の中で蓄積した“技術”を活用し、開発期間の短縮を狙う。花王は食虫植物にヒントを得て、表面に塗布すると鳥のふんや雪などが付着せずに滑り落ちるコーティング剤の技術を開発。稲の葉が持つ撥(はっ)水(すい)の構造を再現した帝人の生地は衣類に広く使われている。

 花王は、昆虫を滑らせて捕食するウツボカズラのつぼ内面が潤滑液に覆われている点に着目し、付着物を抑える技術を見いだした。花王の担当者は「寒冷地の屋根の積雪解消に役立つかもしれない」と話す。

 使った素材は植物などの繊維を細かくほぐしたセルロースナノファイバー。液体を抱え込む特性を生かし、保持した潤滑油を長期間にわたって微量に放出し続け、滑りやすい性質を維持できるように工夫。環境や作業員の健康に配慮し、ベンゼンなどの有機化合物を使わない水性のコーティング剤を追求した。

 稲の葉で作られる古来の雨具「みの」を参考にしたのは帝人だ。微細な凹凸が無数にある稲の葉を模して、ポリエステル糸を織って凸構造を配した生地を作った。水との接触面を減らし水滴を転がり落とす「ミノテック」を製品化した。

 糸を密接に交差させてフィルム加工などを施した一般的な撥水製品に比べて生地の風合いを重視。ビームスといった複数のアパレルがコートやジャケットに採用した。

 ニコンとシャープは、海水の抵抗を抑えて速く泳ぐために細かい溝があるサメの肌を参考にする。エアコン室外機のプロペラファンに同様の加工を施すと、一定の省エネ効果があることを確認。令和5年度の実用化に向け共同開発に取り組んでいる。

 バイオミメティクス 長い年月をかけて進化を続けている生物の構造や機能、体形、色などを模して活用する「生物模倣技術」を指す。英語のつづりは「biomimetics」。昆虫の目を参考にしたレンズの開発などが代表例。三菱マテリアルは壁を垂直に移動するヤモリの足裏の微細な剛毛に注目し、金属でありながら、ゴムのような柔軟性や接着性を併せ持つ新材料「金属ゴム」を今年開発した。

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