テクノロジー

病巣見ながらがん治療 千葉大病院に最先端の放射線機器

 千葉大病院(千葉市)は11日、来月に使用を始める最先端の放射線治療機器「Elekta Unity MRリニアックシステム」を報道陣に公開した。同システムは、磁気により鮮明な体の断面画像が得られるMRI(磁気共鳴画像診断)装置とリニアックと呼ばれる放射線治療装置が一体化したもので、従来よりも的確に病巣を狙って放射線を照射できることから、これまで放射線治療が難しかったすい臓がんなどの治療での活用が期待される。

 放射線治療は外科療法、薬物療法と並び、がん治療の3大治療法とされる。しかし日本では外科治療が中心となってきたこともあり、欧米に比べて放射線治療を受けるがん患者の割合は少ないという。

 従来のがん放射線治療では、事前に撮影したCT(コンピューター断層撮影)の画像で病巣を確認。呼吸や姿勢の影響で、病巣が動くことを想定して範囲を広げて放射線を照射していた。だが、同システムでは治療時にリアルタイムで病巣の位置を確認できるため、より狭い範囲で病巣を狙い撃ちできる。そのため、放射線に弱い消化管に近いがんに対する治療にも使うことができるという。

 同病院は昨年から設置工事を開始したが、新型コロナウイルスの感染拡大による外国人技術者の入国制限などの影響を受け、当初よりも半年ほど遅れての導入となった。来月から実際に患者の治療に用いるといい、国内初となる。

 同病院の宇野隆放射線部長は、「これまで放射線治療で良い治療成績が得られている前立腺がんなどでも治療の回数が減り、副作用や後遺症が少なくなることが期待できる。消化管に近く、治療しにくかったすい臓がんなどでも、生存率の向上に寄与したい」と述べた。

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