「服のようなモビリティに」
そもそも、なぜインフレータブル構造のモビリティを開発しようと思ったのか─。
同プロジェクトの研究員で法政大学デザイン工学部の准教授、ソン・ヨンアさんによると、人とコンピューターの関わり方を研究するヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)の分野やロボット工学の分野では近年、poimoのような「やわらかさ」や「変形」を用いたユーザーインタフェースの開発が注目を集めているという。その視線が最近話題の「MaaS(Mobility as a Service)」の一翼を担うパーソナルモビリティにも向けられた格好だ。
電動キックボードなど最近街中でも見かけるようになったパーソナルモビリティと比べ、poimoは「非使用時の可搬性や収納性に加え、対人の衝突安全性やカスタマイズ性にも優れている。パーソナルモビリティの新分野を開拓できる可能性がある」(ソンさん)という。
poimoは最新技術を用いて社会課題にアプローチした点が評価され、同展示会を主催するデジタルコンテンツ協会の「DCAJ会長賞」と、インタラクティブテクノロジー分野の世界最大の学会「ACMシーグラフ」への参加資格が与えられる「特別賞」のW受賞を果たした。
共同研究チームは無線給電や自動運転などの技術との組み合わせも視野に、今後さらに開発を進める方針。来年以降は社会実装に向けて、私有地での実証実験を開始する予定だという。
「空気の充填方法なども含め、まだまだデザインの余地はある」というソンさん。布地という素材特性を生かし、「最終的には衣服を着脱するように、必要に応じてスムーズに取り出し・収納できるモビリティを作れたら」とさらなるイノベーションに向けてイメージを膨らませている。