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スパコン富岳「命救う」と評価 理研、ゴードン・ベル賞受賞で会見

 理化学研究所が運用するスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」を使った新型コロナウイルス研究が、「スパコンのノーベル賞」とも称されるゴードン・ベル賞の特別賞を受賞したことを受け、理研が19日、喜びの記者会見を行った。

 受賞したのは、理研と神戸大の研究チームで、富岳を使ってせきや発話で生じる飛沫(ひまつ)やエアロゾル(ウイルスを含む微細な粒子)の拡散をシミュレーションした。新型コロナの感染リスクを「見える化」し、感染予防対策の重要性を啓発したことが評価された。

 理研計算科学研究センターの松岡聡センター長は「(コロナ禍で)富岳が命を救い、経済や生活を維持することに貢献したと認められた。社会にインパクトを与えるスパコンを目指してきたことが間違っていなかったと示せた」と話した。

 研究を率いた理研チームリーダーで神戸大教授の坪倉誠氏は、「スパコンは何か得体(えたい)のしれない難しい計算をしていると思われがちだ。飛沫という身近なものにも分からないことがいっぱいあり、(解明に)スパコンが役立つと知ってもらえた」と話した上で、今後もコロナを含め新しい感染症に耐えられる社会づくりに貢献する研究を進めたいとした。

 ゴードン・ベル賞は計算科学分野で最も権威のある賞の一つで、スパコンの高い計算性能を生かして社会にインパクトを与える優れた研究成果を出したチームに与えられる。昨年から新型コロナに関する研究を対象とした特別賞を設けている。

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