しかし日本人FWは総じて、外国人FWに比べてシュートに対し消極的に映るのだ。
「メンタルの問題」
結局、そこに落とし込まれがちだが、それは具体的にはどんな精神構造を指しているのか?
あのスペインの天才の場合
10年ほど昔、スペインの伝説のゴールゲッター、ラウール・ゴンサレスの少年時代のルポ取材をしていたときだ。点を取る。その才能はほとんど天才的なのだと思い知らされた。
「ラウールは、ゴールに対する貪欲さを持っていた。たとえ味方が8-0で勝っていても、ゴールを決めた後、すぐにそのボールをセンターサークルに戻した。それで相手に向かって、『早く始めろよ』とすごんだんだ」
そう語ったのはラウールをスカウトし、15歳まで指導した人物だった。
「ゴールに対するメンタリティはゾッとするものがあったよ。集中力は神懸かっていた。週末に自分の試合がない日は、朝からすべてのカテゴリーの試合を見ていたね。そこで得点のパターンを自分に取り込み、私との個人トレーニングで実践し、やがて習得してしまった」
恐るべき得点への執着である。ゴールに没頭できる、特異なキャラクター。それを生み出す確率が、スペインや南米は圧倒的に高いのだろう。
一方、日本ではそもそも執着することが良しとされない。個性を大事に、と奨励される空気は出てきたが、実際のところ、異端は断罪され、「出る杭は打たれる」。それは日本人の根っこに張り付いた道徳観なのだろう。「空気を読む」という言葉は一時はやったが、それは洞察力というよりは、「周りと折り合う、迷惑をかけない」という協調性を意味する言葉に近い。