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【衝撃事件の核心】親の責任感と孤立の末、四半世紀も監禁された息子 周囲の支援、あり方は

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【衝撃事件の核心】親の責任感と孤立の末、四半世紀も監禁された息子 周囲の支援、あり方は

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 障害者差別も背景に?

 立命館大産業社会学部の山本耕平教授(福祉臨床論)は、今回の事件の背景には障害者への差別があると指摘する。

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 山本教授によると、戦前の日本には家族が障害者を自宅の一室に閉じ込めて外部との関係を絶つ「座敷牢(私宅監置)」と呼ばれる文化があった。昭和25年制定の精神衛生法で禁止されたが、その後も障害者への「差別」や「隔離」は社会に根強く残った。そのため、障害者を家族に持つ家庭が積極的に外部に支援を求めることは容易ではないという。

 山本教授は「障害者への支援は家族の問題でなく、社会全体の課題として取り組むべきだ」と指摘した上で、今回の事件については「家族が誰にも相談できないまま、孤立したことで起きた悲惨な事件。『自分たちで何とかしなければ』という思いから行き過ぎてしまったのではないか」と説明する。

 公判は、父親が起訴内容を全面的に認めたため、検察側が懲役1年6月を求刑し即日結審。地裁は6月27日、弁護側の要求通り、執行猶予付きの判決を言い渡した。周囲や福祉制度は一家を救えなかったのか。一家が自ら困難から抜け出すことはできなかったのか。

 法廷で長男との今後の関わりについて問われた父親は、言葉少なにこう答えた。

 「福祉施設の世話になるとしても、それで終わりではない。私たちは親子だから。できるだけのことをして見守っていきたい」

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  • 長男がおりに監禁されていた状況のイメージ

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