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【生かせ!知財ビジネス】英バード&バード法律事務所・道下理恵子弁護士に聞く

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【生かせ!知財ビジネス】英バード&バード法律事務所・道下理恵子弁護士に聞く

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 ■対中戦略を真剣に考えるべきとき

 トランプ米大統領が知財侵害などで中国に圧力をかけているが、中国知財の専門家はどう見ているのか。中国滞在歴20年を超える英バード&バード法律事務所・北京オフイスの道下理恵子パートナー弁護士に聞いた。

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 --米政権の動きを、中国ではどう見ているのか

 「企業も法律家も同じ。フェアではない。台頭する中国企業に脅威を感じて、まずグローバル企業の華為技術(ファーウェイ)をたたいたとみている。知財や産業スパイに焦点を当て、中国企業が変わるべきだとの声は聞かない。今後、グローバル展開した際に同じ目に遭わないためには、どうしたらいいかを考えているところだ」

 --中国の知財保護環境は改善していなかったのか

 「放置はせず、どうにか変えようとしている。例えば昨年12月、福建省福州市の中級人民法院で米大手IT企業同士の特許裁判が開かれた。今年1月、複雑な知財案件と競争法案件の2審は全て北京の最高人民法院へ移された。田舎の裁判所でも知財が扱える水準になり、上級審は北京で判決の統一化を図ったというわけだ」

 --欧米系法律事務所の見方は

 「現状の環境は完璧とはいえないが、良くなると見ている。かつては中国へ進出する欧米系企業のため働いたが、近年は海外進出する中国企業を手助けして収益を上げたいと方針を変えている。欧米の法科大学院や法律事務所で学んだ中国人弁護士の帰国も進み、今、顧客として獲得しないでどうする、という感じだ。取引開始前の背景調査も中国企業は最も厳しいランクにはない」

 --今後、米中貿易摩擦の着地点をどう見るか

 「トランプ米大統領の去就による。万が一いなくなれば、今の状況は解消されるかも。続行なら当然、米国企業が強い別の分野でも、知財力を備えて世界的に台頭してきている中国企業が狙い撃ちされる懸念は残る」

 --日本企業はどうすべきか

 「今、米中摩擦の舞台にされ、どっちつかずの立場にいる分野もあるだろう。だがチャンスでもある。知財部門自身が自発的に動き、中国政府や中国企業の情報を集め、企業としての対中戦略を真剣に考えるべきときにある。もし、中国で問題特許を見つけたら、企業としての判断をどうするのか、対策を練っておくべきだ」(知財情報&戦略システム 中岡浩)

【プロフィル】道下理恵子

 みちした・りえこ 2001年中国人民大法卒。北京、上海、香港を拠点に日本や欧米の企業の中国知財・法務問題に対応。得意分野は知財訴訟。米ニューヨーク州弁護士、英国外国弁護士。42歳。神奈川県出身。

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