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福島第1ルポ 建屋に向け数歩…線量急上昇 作業環境は改善進む

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 未曽有の原発事故から間もなく8年を迎える東京電力福島第1原発の構内が今月、報道関係者らに公開された。炉心溶融(メルトダウン)を起こした2、3号機の間の通路を防護服なしで行き来できるようになるなど、作業環境の改善は進んでいる。ただ、廃炉作業中の原子炉建屋に少しでも歩み寄れば急上昇する線量計の値が、道のりの険しさを改めて実感させた。(福田涼太郎)

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 「防護服不要」9割超

 原発には現在、ピーク時の半分近くとなる1日当たり約4千人の作業員が出入りする。現在は96%のエリアが、簡易マスクと一般作業服で立ち入ることができるという。

 最初に案内されたのは、事故炉となった1~4号機を見渡せる高さ約35メートルの高台。各原子炉まで100メートル程度だが、マスクの着用は求められない。地面にモルタルを吹き付けるなどして放射性物質の飛散を押さえ込み、昨年11月に装備の規制が緩和された。

 その後、2、3号機の間を通る幅約12メートルの通路を訪れた。両号機の内部には溶け落ちた高放射線量の核燃料(デブリ)が手つかずで眠っている。

 2号機では今月13日に取り出しに向け、デブリとみられる堆積物の性質を調べる接触調査がようやく行われた。

 鉄板が敷き詰められた通路にバスが入ると、車内で誰かの個人線量計から値の上昇を知らせるアラーム音が鳴った。バスを降りた後には、さらにところどころで鳴り始めた。

 廃炉作業は足踏み中

 3号機の建屋は特に水素爆発や津波による破損がひどく、むき出しになった鉄材が今もその衝撃の大きさを伝える。通路の中央にいた広報担当者の空間線量計は毎時250マイクロシーベルトだったが、3号機側に数メートル近寄ると350マイクロシーベルトに急上昇した。1マイクロシーベルト以下だった正門付近の数百倍だ。促されて5分程度でその場を去った。

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  • 敷地内に並ぶトリチウム処理水が入ったタンク

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