社会・その他

店舗消滅! 「駅前の光景」が“荒廃”するこれだけの理由

 金融機関や飲食店などのサービス産業が当たり前に展開してきた「実店舗」の風景が、一変しつつある 。背景となっているのは、言うまでもなくネット社会の進展である。駅前の一等地には、メガバンクや 外食チェーンなどが軒を連ねるというのが常識だったが、こうした光景も大きく変わる可能性が出てきた。(加谷珪一,ITmedia)

金融機関が急ピッチで店舗閉鎖

 このところ大手金融機関が急ピッチで店舗網のリストラを進めている。これまで駅前の一等地は、銀行を中心とした金融機関の店舗で占められていた。各金融機関は目立つように大きな看板を掲げるので、駅前は金融機関の看板であふれかえるというのが常識であった。

 多くの人が気付いていると思うが、メガバンクを中心にこうした大形看板を撤去する動きが顕著となっている。三菱UFJ銀行と三井住友銀行は店舗網の再構築をかなり進めており、面積の広い大形店舗は次々と姿を消している。三菱UFJ銀行では2023年までに店舗数を半減させたい意向である。

 メガバンクの中ではみずほ銀行だけが、旧3行のシステム統合などの遅れのためリストラが進んでいなかったが、19年3月期決算で同社グループは大規模な損失を計上、ようやく負の遺産処理にメドを付けた。今後は国内に約500店舗ある支店の統廃合を進める計画なので、同行も三菱UFJ銀行や三井住友銀行と同様、店舗網がコンパクトになる可能性が高い。

 銀行だけでなく証券会社や他業種にとっても状況は同じである。

 国内証券最大手の野村證券は 4月、国内の店舗を2割削減し、営業担当者の大胆な配置転換を実施する方針を明らかにした。証券業界は株式のネット取引へのシフトで対面販売には逆風が吹いていたが、「モーレツ営業」で知られる同社は何とか巨大な店舗網を維持してきた。だが時代の流れには勝てず、店舗の位置付けを根本的に見直す。

 一等地への積極的な出店で話題になっていたTSUTAYAもこのところ店舗網の縮小を加速している。17年頃から不採算店の閉鎖を進めていたが、都内の旗艦店だった恵比寿ガーデンプレイス店(東京都目黒区)や六本木店(東京都港区)も閉鎖となり、19年になっても店舗閉鎖が続いている状況だ。

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