【IT風土記】兵庫発 神戸ビーフに続け…灘の酒、世界ブランドに挑む
更新灘地方は、宮水と呼ばれる良質な水を持ち、厳しい冬の寒気など、清酒醸造に適した気候条件を備えている。この地域には、丹波杜氏の伝統の技が古くから受け継がれており、全国でも随一の酒どころとして栄えてきた。しかし、1995年1月17日に発生した阪神大震災では、白壁土蔵造りの酒蔵が倒壊などの被害に見舞われた。灘五郷酒造組合の藤井篤事務局次長は「この地域には中小蔵元が多く、廃業に追い込まれるケースも見られた」と振り返る。さらに、2000年以降、日本酒を愛飲していた層の高齢化や、20~40代の日本酒離れなどもあり、厳しい経営を余儀なくされる蔵元も少なくなかった。
こうした灘五郷を取り巻く厳しい環境の風向きが変わり始めたのは、中国人の爆買いが盛んになった2015年以降のインバウンドの増加がきっかけだった。白鶴酒造広報室の大岡和広副主任は「外国人観光客の急増に対応し、外国語のできる案内役の確保に迫られた。その中で有効だったのはICT(情報通信技術)を活用した取り組みだった」と話す。
インバウンド需要を取り込め
白鶴酒造資料館は、蔵人が作業する姿を人形に再現し、実際に使った道具を可能な限り忠実に再現している。踏桶に入れた精白したコメを洗う「洗米」や大釜の上に甑を乗せてコメを蒸す「蒸米」、「麹取り込み」、「もと仕込み」、「もろみ仕込み・もろみ出し」といった酒づくりの一連の作業を見学する際、スマートフォンでQRコードを読み込むと、15か国語で解説してくれる仕組みだ。
資料館の見学を終えた来館者が土産物店で買い物する際も、ソフトバンクのロボット「ペッパー」が案内役を務める。公募の結果、「ハクちゃん」と名付けられた案内ロボットは、白鶴酒造の法被をまとい、英語、中国語、日本語で愛嬌を振りまく。「白鶴酒造の商品については、ハクちゃんにバーコードを読み込ませると、商品の説明をする」と大岡副主任はいう。



