経団連は否定的だが、やりたい人は多い
なぜ政府は方針転換をしたのか。政府は「働き方改革実行計画」で兼業・副業の推進を掲げた。最大の狙いは経済の活性化だ。優秀な人材の技能を他社でも活用することで新事業の創出などにつながり、人材を分け合うことで人材確保にも寄与する。また、個人にとっても副業をすることで自社にはないスキルを獲得し、キャリアアップにつながり、副業をきっかけに起業する人も増えると考えている。
もう会社が定年まで面倒を見てくれる時代ではない。副業をしておけば、リストラや倒産などで職を失ったときのリスクを軽減できる。ましてや「人生100年時代」においては、老後のために、副業で生涯賃金の増収を図ったり、複数のスキルを持ったりすることは、非常に重要だ。
残念ながら、企業側はまだ消極的だ。政府の働き方改革に賛同する経団連の榊原定征会長は「経団連として会員企業に対し、旗を振って副業・兼業を推奨するものではない」(2017年12月18日記者会見)と否定的意見を述べている。経営者が社員に対して「社業に専念せよ」と思うのは当然かもしれない。
一方、労働者側は「副業をやってみたい」という人が多い。人材採用支援のエン・ジャパンの調査(2018年2月)によると、正社員のうち「現在副業している人」は8%、「過去に副業をしたことがある人」は33%、「したことはないが興味のある人」は53%、そして「副業に興味がない人」はわずか6%だった。