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EPA署名 日本ワインに転換点

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EPA署名 日本ワインに転換点

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 日本と欧州連合(EU)が経済連携協定(EPA)に署名し、発効後は輸出入ともにワインの関税が撤廃される運びとなった。欧州から格安なワインの大量輸入も予想され、国内最大のワイン産地・山梨県では、関係者から「日本ワインには厳しい状況」との声が出ている。

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 一方で、近年は欧米などに特産の甲州種ブドウで作った白ワイン「甲州」が輸出されており、好機となる面もある。県内のワイン業界は方向性を問われることになりそうだ。

 「甲州」の輸出を積極的に進めてきた中央葡萄酒(ぶどうしゅ)(山梨県甲州市勝沼町)の三沢茂計社長は、EUが日本のワイン市場を相当重視してくるとみている。

 ワイン消費が多い英国のEU離脱でポンド安が続けば、主要生産国のフランス、イタリア、スペインから英国への輸出が減る。このため、フランスなどが関税撤廃後の日本を「愛好家の質が高く、ブームに終わらない適切な市場」と見て、「日本への輸出が強化される」と指摘する。

 現在、ワインの関税は750ミリリットル換算で約93円。撤廃後は大量輸入などの効果もあり、三沢社長は「店頭で300円程度安くなる可能性がある」と話す。

 消費者には喜ばしいが、「欧州では2千円以上が高級ワイン。これが一般的な日本ワインの価格帯に入ってくる。かなり厳しい」と警戒する。

 三沢社長は半面、EUへの県産ワインの輸出について「関税撤廃で消費者の裾野が広がる可能性がある」と期待感を示し、「山梨は『甲州』の品質向上と積極的な世界進出が必要だ」と強調した。

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  • 記者会見を終え、トゥスク欧州理事会議長(右)と握手を交わすユンケル欧州委員会委員長。中央は安倍晋三首相=17日午後、首相官邸(酒巻俊介撮影)

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