記事詳細

【IT風土記】長野発 遊休資産を村おこしの武器に 「シェア経済」に挑戦する北相木村

更新
旧ダム建設事務所を利用したシェアリング施設

旧ダム建設事務所を利用したシェアリング施設

 東電から譲渡を受けたダム工事の現場事務所は、相木川のほとりに事務棟と住居棟の2棟あり、今回、シェアリングエコノミーで事務棟の活用策を探る。事務棟は2階吹き抜け構造で、1階の広さは180平方メートル。ちょうどバレーボールのコートくらいの面積だ。メゾネット式の2階に36平方メートルほどのスペースがある。企業の研修会や大学の合宿などでの利用を想定。研修会場などを探している企業や団体などに利用を呼びかけている。「村民が空いた時間の労働を提供するレイバーシェア(共有型労働力)によって施設を運営する仕組みも取り入れた」と経済建設課の菊池忠水課長補佐は話していた。

<< 下に続く >>
シェアリング施設の1階はバレーボールコートほどの広さがある

シェアリング施設の1階はバレーボールコートほどの広さがある

 この事業の仕掛人は長野県企画振興部の坂口秀嗣・情報化推進担当部長だ。「ここ数年、シェアリングエコノミーが全国で加速度的に広がりを見せており、長野県内でも何らかの形で取り組めないか内部的に検討していた」。ちょうど総務省がシェアリングエコノミーを活用して地域課題の解決や地域経済の活性化を図る地方自治体を支援する「シェアリングエコノミー活用推進事業」の公募があり、「長野県としてもトライしよう」と、施設の有効活用を模索していた北相木村に話を持ちかけたという。

長野県の坂口秀嗣・情報化推進担当部長

長野県の坂口秀嗣・情報化推進担当部長

 地元シンクタンクの長野経済研究所、サービス提供するためのシステム基盤を提供するNECも参加。4者が連携した形で総務省の公募に応募し、モデル事業の一つに採択された。

長野経済研究所の玉木壮太主席研究員

長野経済研究所の玉木壮太主席研究員

 「シンクタンクとして自治体向けに先を見据えた支援が大事になっている。今回の事業を通じて、他の市町村にも有意義な提言ができる貴重なチャンス」と長野経済研究所調査部の玉木壮太主任研究員は今回の取り組みに参加した理由を語る。NECは、シェアリングエコノミーサービスのプラットホームを提供。会員管理と複数のサービスを提供するシェアリング管理の2つの機能を持ち、高いセキュリティーが確保されたシステムで、今回のサービス以外のさまざまなシェアリングサービスが導入された場合にも対応できるようになっている。

このニュースのフォト

  • 北相木村の名勝「三滝」の一つ、大禅の滝。冬は幻想的な氷瀑に(北相木村提供)
  • 北相木村の名勝「三滝」の一つ、大禅の滝。秋は紅葉、冬は幻想的な氷瀑になる観光スポット
  • 北相木村経済建設課の渡辺秀正課長(右)と菊池忠水課長補佐
  • 旧ダム建設事務所を利用したシェアリング施設
  • シェアリング施設の1階はバレーボールコートほどの広さがある
  • 長野県の坂口秀嗣・情報化推進担当部長
  • 長野経済研究所の玉木壮太主席研究員
  • 長野の観光名所。「一生に一度は善光寺詣り」と言われ、年間約600万人が訪れる信州善光寺
  • シェアリングエコノミーによる地方活性化の可能性について語る総務省地域政策課の東宣行理事官
  • シェアリングエコノミーにチャレンジした北相木村の井出高明村長

ランキング