著者は語る

日本の構造研究所代表・中田宏氏 『外食力』

 やり直しできる産業 本当の今を読者と共有

 「外食」にどのようなイメージを持っているだろうか。

 僕は政治家だった時代から、大げさではなく350日外食している。チェーン店から厳選した食材を使用している店まで、出張も多いので日本の北から南まで実にさまざまな店を訪れる。その店の料理人や経営者と話すことも多く、外部者としては外食の現場をよく見ていると言ってよいだろう。

 そうした中で常々抱いてきたのが、外食の社会的評価が低いのではないかという気持ちだ。若年層は就職先として外食を選びたがらず、年配者の中には「水商売」と考える人もいる。

 外食産業の市場規模は32兆8176億円、店舗数は67万3200店、働いている人は482万人に上り、市場規模ではコンビニエンスストアの約3倍にも及ぶ。日本の経済を支えている巨大産業だ。

 それなのになぜか。一つには、デフレ下における行き過ぎた価格競争がある。ハンバーガーや牛丼が安いのは消費者としてうれしいが、結果として「外食=安い産業」のイメージがついた。単価が下がれば働く人の給与は伸び悩み、人的コストを削減すれば残った人の仕事が増える。もちろん、「ブラック」というキーワードは近年、外食産業に限った話ではない。

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