非正規にボーナスを出している外食チェーンの言い分
そうしたなかで非正規にボーナスを支給しようという企業も徐々に登場するようになる。10年前からボーナスを支給している物販・外食チェーンの人事部長はその間の事情についてこう語る。
「1990年代は正社員がほとんどを占め、補助的に主婦のパートさんを使っていましたが、上からコスト削減を強く言われ、正社員が辞めると代わりに契約社員を雇うようになりました。本来なら優秀な人は正社員にするのですが、1年後、2年後に業績がどうなるのかわからないという危機感もあり、正社員を雇うのではなく契約社員への切り替えが進み、徐々に増えていきました。店舗ではフルタイムもいればシフト勤務のパートさんもいるなど非正規が主力になっていったのです」
「しかしボーナスは、正社員は出るのに非正規は出ません。もともとそういう契約になっていたので非正規の人たちも口に出して文句を言う人はいませんでしたが、ボーナス時期になると見ていてどこか元気がない感じになるのを気づいていました。皆さんやはり不満を持っていたのです。そこで人事から社長に意欲を持って働いてもらうには少しでもボーナスを支給すべきだと、進言したのです」
同社の場合、勤務年数に応じて支給するようになり、勤続10年の人は年間20万円だという。正社員よりも低いが、それでも他の非正規社員よりは恵まれているといえる。
2019年は非正規へのボーナス支給企業が増える可能性がある
非正規社員にボーナスを支給する企業が徐々に増えているとはいえ、多くは「金一封」的な金額しか支給されていない。先の東京都の調査ではボーナスを非正規に支給する企業のうち、年間5万円未満が27.8%を占めている。
以上のように非正規社員には暗い話が多い昨今だが、2019年は非正規へのボーナス支給企業が増える可能性がある。政府は働き方改革の一環として「同一労働同一賃金」を打ち出し、国会で法律が改正され、大企業は2020年4月、中小企業は2021年4月から導入されることになった。その内容はとても文字通りの「同一労働同一賃金」と呼べる内容ではないが、法律に初めて「賞与」が入った。
具体的には法律に「事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて(中略)当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない」と規定している。
わかりづらい言い回しであるが、たとえば会社の業績への貢献に応じてボーナスを支給する場合、正社員との貢献度が違う場合でも、その違いに応じて非正規にも支払いなさいと言っているのだ。