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介護のプロでも音を上げる 「老老」より過酷な「若若介護」の絶望度

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介護のプロでも音を上げる 「老老」より過酷な「若若介護」の絶望度

配信元:PRESIDENT Online 更新

 会社経営をしていたプライドの高い実父は「お前が看たほうがよい」と言ったそうです。母に深い愛情を感じていたSさんは、「神様が与えた試練だ」と思い、体重35kgの母親を抱っこしてお風呂に入れました。また、夜中におねしょシートを父と母の2人分を敷いたり、便のかき出しをしたり、と孤軍奮闘でW介護をしたそうです。

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 自分の時間がなくストレスがたまり、胃腸・消化器系の病気になるなど、悲痛な介護生活ではありましたが、そんな中でもSさんが幸運だったのは、「お金の心配がなかったこと」に加えて「ケアマネに恵まれたこと」だと言います。ケアマネージャーは「母の介護レベルに合わせて入浴サポートの充実した介護サービス会社に変える」といった提案をしてくれたそうです。

 こうした経験から、現在、90代の親を介護している女性の友人から「親を施設にいれたら親不孝か」と相談され、「そんなことは全然ない。決して自分を追い詰めちゃいけない。自分を罪深いなんて思う必要がない」とアドバイスしたと言います。

 80代妻が介護する80代後半の夫は「ショートステイを拒否」

 老老介護に関してはケアマネージャー(73歳・女性・非常勤)から、このような事例が挙がりました。

 「私が担当しているご家庭で、80代後半の旦那さんの介護を同じ80代の奥さんが1人で担っているケースがあります。ケアマネとして奥さんに『ショートステイなどを上手に使いましょう』とすすめても、旦那さんがそれを拒否する。私は旦那さんに『奥さんのほうが先に倒れちゃう。介護してくれる人への感謝の表し方はショートステイしかないですよ』と助言しました」

 80、90代の高齢者を介護するには、世話をする側も高齢なので、体力に留意しなければ共倒れになります。また、できるだけ孤独にならない工夫が必要といえそうです。

 老親を介護した(している)人々は「介護は10年も20年も続くものではないので、やらないで後悔するよりちゃんとやりたいと思っている」という意見が目立ちました。しかし、ひとりで抱えこまず、ケアマネージャーなどから情報を得たり、賢くサービスを活用したりして、精神的な孤立や肉体的な負担を減らすことを優先してほしいものです。

 60、70代介護は「時間」「お金」「気遣い」がキーワード

 一方、親の年齢が60、70代で、それを推定40、50代の子供が介護する場合はどうでしょうか。

 40、50代というとまだ子育て期なので、子供の教育費や食費がかかる時期です。共働き世帯も目立ちます。かさむ出費で家計が苦しく、忙しい最中に、親が倒れるという事態が突然起きます。

 4年前から実母(70代)の介護がはじまった専業主婦Kさん(現在52歳)の事例を紹介します。現在、会社員の夫と社会人2年目の娘と暮らしており、徒歩10分のところに実家があります。4年前、実母が73歳のときに脳血管疾患になります。後遺症で舌の感覚が鈍くなり、認知症も発症し、家事をする意欲もなくなったそうです。介護度は「要介護2」。独身の妹はフルタイム勤務のため、ほぼノータッチ。実父は家事が全くできないので、Kさんが食事をつくって毎日届ける日々でした。洗濯物が乾かない冬に、おねしょを繰り返すので、寝る前に「トイレに行こう」とか「ぬれてもいいように下に引くものを変えよう」とか言うと、母もプライドがあるのか怒ったそうです。

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  • ※写真はイメージです(写真=iStock.com/TAKATEN1059)
  • ※写真はイメージです(写真=iStock.com/sprng23)

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