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【主張】薬機法改正 本来の医薬分業に向かえ

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【主張】薬機法改正 本来の医薬分業に向かえ

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 効き目の優れた処方薬が増えている。薬が重複したり、飲み合わせが悪かったりしないよう、とりわけ注意が必要になっている。

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 複数の医療機関にかかっても、「かかりつけ薬剤師」が1カ所で情報を管理し、相互作用を起こさぬよう注意してくれると安心だ。

 だが、市販薬も含めた一元管理に本気で取り組んでくれる薬局を探すのは容易なことではない。

 厚生労働省の専門部会は、医薬品医療機器等法(薬機法)の改正に向けて報告書をまとめた。改正法案は、通常国会に提出される見通しだ。

 報告書では、薬剤師・薬局の役割を改めて明記した。薬を棚から取って袋に詰めたり、患者に薬の説明をするだけではない。

 服薬期間を通じ「薬が効いたか」「副作用が出ていないかどうか」などを把握し、必要に応じて結果をかかりつけ医に提供することも役割であるとした。市販薬や健康食品なども含めた一元的・継続的な薬物管理である。

 法律に明記するのは遅すぎたくらいだ。医薬分業は薬剤師が患者の服薬情報を集約し、継続的に指導することで安全で確実な薬物治療をするのが狙いだ。だが、世の中に広がっているのは、患者が医療機関で処方箋を受け取り、近くの薬局で薬を受け取る風景だ。それでは目的を果たせない。

 報告書はさらに、薬局が特定の機能を掲げ、患者が自分に合う薬局を選べる方策も盛った。具体的には2つの機能を挙げた。

 一つは、在宅医療に携わり、患者が入院から退院、在宅へと移っても服薬状況を継続的に把握する地域に根ざした薬局である。

 もう一つは、抗がん剤などを服用する患者に、丁寧な服薬指導を行い、副作用にも目配りする薬局だ。通院治療で経口の抗がん剤を使う患者も増えている。

 だが、患者がひどい吐き気などで薬をやめたりすると、限られた治療の選択肢が失われる。こうした患者に薬剤師が伴走する環境をどう作るか、薬局薬剤師と病院薬剤師が一緒になって知恵を出し、考えてもらいたい。

 患者の理解と協力は不可欠である。市販薬や健康食品の情報も1冊のお薬手帳に記し、薬局はできるだけ1カ所にしぼりたい。かかりつけ薬剤師と継続的に付き合ってこその医薬分業である。

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