東京商工リサーチ特別レポート

急成長の老人ホームが破綻 預り金流用か、前オーナーは徹底抗戦

東京商工リサーチ

 首都圏を中心に37カ所の有料老人ホームを経営していた未来設計(東京都中央区、洞寛二社長)が1月22日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は有料老人ホームの運営会社としては53億8600万円の大型倒産となった。(東京商工リサーチ特別レポート)

 負債には利用者が入居時の預り金なども含まれる。その預り金などを失った個人債権者は1500名、総額は約34億円にのぼる。

 未来設計は、2002年の施設開設以来、介護市場の拡大を背景に成長を遂げてきた。だが、M&Aによる経営者の交代をきっかけに前オーナーが法外な報酬を得ていたことや粉飾決算の疑惑が発覚。入居者やその家族など多くの人を巻き込み、波紋は広がっている。

買収をきっかけに事態が急変

 未来設計は認知症、終末期ケアの有料老人ホーム「未来倶楽部」、「未来邸」を展開していた。創業から年間2施設ペースでホームを開設し、施設数は1都3県に37カ所を数える。公表された決算書では、売上高は右肩上がりで推移してきた。設備の充実した大規模施設も多く、福祉・介護業界では成長企業の一社として存在感を示していた。

 2017年8月期には、売上高100億7000万円と初めて100億円を突破した。さらに、東京都港区内の高層オフィスタワーに本社を構え、「羽振りのよさ」も垣間見せていた(2018年12月、現本社に移転)。

 2018年7月頃から未来設計に関する問い合わせが急増した。経営陣が刷新し、役員の一部に「解任」登記もあったからだ。

 ほどなく介護施設運営の創生事業団(福岡市博多区、伊東鐘賛社長)が未来設計を買収したことがわかった。

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