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【暮らし替えの道しるべ】見る、触ることでわかること

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 先日、洗濯物の中に携帯電話が入っていたのを確認せず、そのまま洗濯機に入れてしまいました。洗い終わった洗濯物の下の方から、ずぶぬれの携帯が見えたときは、顔面蒼白(そうはく)になったのはご推察通りです。

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 これまでもティッシュペーパーなどをズボンのポケットに入れっぱなしで洗濯してしまったことがあります。べったりと白い紙の残骸が付くだけでなく、一緒に洗った洗濯物に繊維片が付いてしまいました。

 子供の頃は、洗濯機がなく、大きな洗いおけに水をはり、洗濯板に洗濯物を広げ、せっけんで丁寧にこすり洗いをしていました。

 今でも休みのときは小さな洗濯板で、襟元、袖口などをせっけんでゴシゴシ洗います。洗濯機より汚れが落ちます。「こんなところにほころびがある」「ワイシャツの襟が汚れてる。汗かいて頑張ってるのかな」など思いをめぐらすことになります。洗面台で小さな洗濯板での洗濯ですが、ゆっくりと流れる大事な時間になっています。

 このとき一緒にやることは、手のひらで雑巾がけをするように洗面台の上を拭くことです。衛生的にどうなの?と言われそうですが、手のひらの感触で細かいほこりがたくさんついているのが分かります。洗面所はたいてい白やパステルカラーなのできれいに見えますが、実際は案外ほこりがついているのです。

 現代は、実際に触る経験を持たなくても事足りてしまうバーチャルな機会が増えています。しかし、自分の目で見たり、手のひらで触ったりする感覚が役立つこともあると思うのです。

 ただ、洗濯機は便利ですので、また忘れた頃にティッシュペーパーや携帯も洗濯してしまうのでしょう。(日本ホームステージング協会代表理事・杉之原冨士子)

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