ゆうゆうLife
家族がいてもいなくても(593)
途中、ハンモックのある広々とした「森のカフェ」で、ランチをしたり、お昼寝をしたりもした。
さらに「もうひとつの那須」と呼ばれる歴史の町、芦野・伊王野の里にも足を延ばし、温泉に入ったり、偶然見つけた石の美術館に立ち寄ったりもした。
それにしても、自然の中に放たれると、子供は俄然(がぜん)、子供らしくなって自然と調和する。
孫娘たちが、森の中で声をあげながら、はしゃいで走り回る姿を眺めていると、もうそれだけで不思議な幸福感に満たされる。
彼女らの姿にかつての息子の姿が重なり、さらに幼かった自分の姿も重なり、それらが夢か幻のように浮かんできて、ついぼんやり追憶に浸ってしまう。
こうして、私にとって今年の連休は、「勝手に1人で遠くに行っちゃった祖母」から、「那須に住んでいる優しい祖母」へと昇格できた記念すべきイベントとなった。
やっぱりね、「つかず離れず」。家族との関係はそれが何よりでしょう、と思った。(ノンフィクション作家・久田恵)