節約家計簿

中高年のひきこもりにサバイバルプラン提案 “不公平な相続”発生ケースも

 中高年のひきこもりの人が61万3000人いるという内閣府調査の推計値の発表を受け、取材を受ける機会が増えています。働けないお子さんがいる家庭に対し、「親亡き後をどう生きるか」を助言しているからです。

 私の相談の当事者は半数が女性。また、男女を問わず、半数くらいの人が障害年金を受給しています。障害年金を受給している家庭に対しては、お子さんの小遣いは月1万5000円以内に抑え、残りは「親亡き後」に備えて貯蓄してもらっています。それだけでも、1000万円を超える貯蓄をできる家庭がたくさんあります。

 生活面の主な助言は、親側に夕食作りをストップしてもらうお願いをしています。お子さんの好き嫌いを考慮した食事を作り続けていると、親亡き後に困るのはお子さん自身。生活コストも抑えにくくなります。夕食を作らない代わりに、ご飯の炊き方と、炊きあがったご飯の冷凍保存法を教えます。おかずはレトルト食品や缶詰などを利用して、1人で食事を済ませるように訓練してもらうのです。

 また、親が70代以上なら、電気、ガス、水道、電話などの使用者の名義をお子さんに変更するよう促しています。親亡き後、名義変更の方法が分からず、ライフラインのない家で暮らすお子さんがいるからです。

 “不公平な相続”が発生するケースも多いため、きょうだいへの配慮も重要です。実家を相続できなかったり、現金の相続も少なくなったりしがちなきょうだいに対して、不公平な相続を受け入れてもらえるかの確認が必要だからです。親亡き後、家の名義の変更などの手続きを、兄弟姉妹が手伝ってくれるのかも、親が元気なうちに確認しておきたいところです。ひきこもりの人の高齢化は、生活していく上での諸問題と向き合う勇気が欠かせません。生き抜くという観点から「サバイバルプラン」を立てておくことは大切です。(ファイナンシャルプランナー 畠中雅子)

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