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戸籍の取り寄せ、変わります 遺産相続をシンプルに 「改正不十分」の声も
ただ、今回の法改正後も最寄りの自治体で簡単に取れる戸籍は、直系尊属と直系卑属に限られ、兄弟姉妹や伯父伯母などは取ることができない。
国会では「直系に限るべきではない」と批判する声も出ているが、プライバシー保護などの立場から直系限定となる見通し。法務省民事局の担当官は「兄弟姉妹で相続について争いがある場合もある。それぞれが自分で戸籍謄本や抄本を取ってもらうという考え方だ」と説明している。
「遺産相続には苦労させられました。戸籍を1つとるのも大変で…」
2年前に父親を亡くした評論家の潮匡人(まさと)さんは遺産相続の煩雑さをこう振り返る。
当時、東京都内に住んでいた潮さん。京都に終(つい)の棲家(すみか)を構えていた父親の潮久郎さんが亡くなると、毎週のように東京と京都を往復しなければならなくなった。久郎さんの本籍地は京都となっていたので、現地の役所で、ほかの手続きと一緒に戸籍謄本を取る手続きを済ませた。認知症の母親の手続きも代行した。
「運転免許証や実印、印鑑証明などを準備して、京都まで行って煩雑な手続きのうえで、ようやく出してもらった。当たり前と言われれば、そうかもしれませんが、結構、大変です」
しかも役所からは「これだけでは親子関係の証明にならない」と言われた。裁判官で、転勤族だった久郎さんが京都を本籍地としたのは、人生の後半。京都で取った戸籍には、潮さんとの親子関係は記されていなかったのだ。