専欄

真っ盛り、拡大の一途をたどる中国「おひとりさま経済」

 某26歳の独身女性は、まさに独身貴族である。週に3回はジムで運動し、化粧品は高価なブランド品を順番に試す。季節に応じて服を新しく買いそろえ、美容にかける費用は惜しまない。休暇には国内外を旅行し、読書の習慣も欠かさない。今後、絵画やピアノ、乗馬といった趣味に費やす時間も増やしたいそうだ。

 毎年世界中で大きく報道される11月11日のネット通販も、もともとは独身者向けのイベントだった。今では一般に広まり、2018年のアリババグループの売上高は、11月11日1日だけで約3兆5000億円を記録した。

 しかし、一人である気楽さは孤独と表裏一体である。

 人気の鍋料理店「海底撈火鍋」では、対面する席にクマのぬいぐるみを置く女性の一人客がいる。「一人じゃない」というアピールで、店側も了解し、人形の前にも箸などをセットする。私が昨年泊まったホテルのダイニングには、人間の子供ほどの大きさのぬいぐるみが、いくつかのテーブルに鎮座していた。食事のお供らしい。

 孤独感と安心感、これらを巻き込みながら、中国のおひとりさま経済は、例を見ない規模で拡大の一途をたどるようだ。

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