フィンテック群雄割拠~潮流を読む

フィンテックで地銀は生まれ変われるか?(後編) 地銀発アプリの魅力

甲斐真一郎
甲斐真一郎

 では、このアプリを通じて描かれているビッグピクチャーはどのようなものなのでしょうか? 僕なりに考えてみようと思います。 同アプリを企画開発し、iBankマーケティング代表取締役でありながら、ふくおかフィナンシャルグループ営業戦略部iBank事業室の室長も務める永吉健一氏のインタビューや同グループの出したプレスリリースを読んでみると、その本当の狙いは、「アプリ運用で取得したビッグデータの活用」にあること、そして、「地域に根ざした企業のビジネスや地域の情報の配信を媒介する“ローカルプラットフォーマー”」を目指していることが浮かび上がってきます。

  銀行のシェア拡大、ユーザー自体を増やしていくこと、オンライン流入経路を確保することはもちろん、地元の中小企業、有力企業が提供するサービスにユーザーを送客したり、収集したデータを元にデジタルマーケティングへの活用をすることが期待されると思います。

 このアプリでは、「お金の動きのデータ」を収集すると共に「ライフイベント」などに合わせた機能を盛り込んだことで「非金融要素のデータ」も収集できます。こうすることで、収集したデータが、地域の企業と個人を繋げて、地域の経済を活性化する好循環を生むキッカケとなりそうです。

 このアプリでは全国展開を構想していて、すでに前述の5行に加えて、南都銀行(奈良)、山梨中央銀行、十六銀行(岐阜)などの各地の地銀が導入することを表明しています。

 この地銀によるフィンテックサービスの事例は、九州という土地から日本全国にビジネスチャンスを拡大している好例ではないでしょうか。

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