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「エスカレーター乗り方改革」進行中 立ち止まる思いやりを、見直し機運に

 思いやりのある乗り方を-。「片側空け」が定着して、足早に歩くのが日常風景のエスカレーター。「歩かず立ち止まって」と、障害のある人や鉄道事業者などが呼び掛けている。事故が絶えないほか、半身まひがある人たちにとっては危険を感じるからだ。来年の東京五輪・パラリンピックに向け、見直しの機運が高まっている。

 わけあってこちら

 東京都練馬区の樋沼明男さん(65)は57歳のとき、脳出血のため職場で倒れた。半年間入院し、復帰して昨年末まで働いたが、左半身にまひが残り、歩行にはつえが必要だ。

 エスカレーターは安全面から歩行を想定していないが、片側に立ち止まり、急ぐ人は反対側を歩く慣習が根付いている。昭和45年ごろに大阪で定着し、その後全国に広まったとされる。東京では左側、大阪では右側に止まる地域の違いもある。樋沼さんはまひがある左手では手すりにつかまれず、“地域ルール”とは異なる右側に立って利用している。

 自身は周りから文句を言われたり、歩く人とぶつかったりした経験はないが、「わけあってこちら側で止まっています」と記したキーホルダーを肩掛けかばんにぶら下げている。「もっと理解が広がるといい」と願っている。

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