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昨年から人口減少の可能性 北京大教授、出生数水増し指摘
中国・北京大経済学院の蘇剣教授はこのほど、中国の人口が2018年に減少に転じた可能性があるとの分析結果を公表した。中国国家統計局は同年に生まれた子供は1523万人としているが、水増しされたデータの疑いが強いという。中国紙の21世紀経済報道(電子版)が伝えた。
国家統計局によると、18年末現在の総人口は13億9538万人で世界1位。政府系シンクタンクは27年に人口減に転ずると予測するが、一部の学者から既にピークを過ぎたとの指摘が出ている。蘇氏は「中国の人口は恐らく17年にピークを迎え、昨年から人口減少が始まっている」と訴えた。
名門大の学者が公然と公式統計を疑問視した背景には、ずさんな統計が研究に悪影響を及ぼすとの危機感がありそうだ。
人口減少の可能性は、蘇氏が北京で開かれたマクロ経済に関する会議で明らかにした。蘇氏によると、出産に関わる政策を担う国家衛生健康委員会がまとめた年鑑は18年の出生数を1362万人としており、国家統計局のデータと大きく食い違っていた。蘇氏が精査した結果、全国各地の政府が出生数を大幅に水増しして報告した痕跡が見つかったという。
さらに昨年から中国の住宅価格に下落傾向が出始めたのは人口のピークと関連していると指摘。重要データである人口の統計が「当てにならず」不正確なため、マクロ経済の研究に影を落としているとの懸念を示した。中国は16年に30年以上続いた人口抑制のための「一人っ子政策」を廃止、全ての夫婦に第2子出産を認めたが、出生数は2年連続で減少した。(北京 共同)