ぼくはこの店のエピソードを思い出しながら、このショッピング経験は今や無効なのだろうか…と思うのだ。
確かに店員と話す気分ではない時、声をかけられると商品選択のタイミングを逸することがある。自分のなかで欲しいもののイメージがはっきりした時に、その不足分を補うためにスタッフに相談というパターンがある。
他方、自分の欲しいイメージをはっきりさせるために、スタッフと雑談しながらいろいろな商品を眺めて、「そう、そう、これが欲しかったんだ!」と気がつくこともある。
だから、この客の気分を読むことができるのが良い店員であり、また、客が「いや、もう少し1人で考えたい」と答えたら、そのまま離れてくれる。それが客の望む店員像だ。
だが、そうは言うものの、スマートに振る舞える店員が少ないのも現実だ。だから結果として、店員とのコミュニケーションは邪魔でデジタル化でトラブルを排除していこうとする。
さて、デジタル化とはトラブル解決のための玉手箱なのだろうか? あまりに「今さら感」がある問いに気がひけるのだが…。
【ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。