ライフ

友好の歴史の証人に 東郷元帥ゆかりのイチョウが“帰郷”英国から苗木15株

 英国ウェールズで明治初期に建造された日本海軍の軍艦、初代「比叡」(コルベット艦)への謝意として明治政府が英国に寄贈し、大木に育った銀杏(いちょう)の苗木約15株が24日、日本に“帰郷”し、栽培育成したウェールズ国立植物公園から広島市植物公園に届けられた。

 英ペンブロークで1877年行われた比叡の進水式で、上野景範(かげのり)駐英特命全権公使らが銀杏を英国側に寄贈。留学生だった東郷平八郎が艤装(ぎそう)員として滞在した英海軍官舎の庭に植えた。東郷が帰国し、日本海海戦でロシアを破る大活躍をしたため、地元では「東郷ゆかりの銀杏」と語り継がれてきた。

 地元郷土史家、デービッド・ジェームズさん(81)は、「銀杏(いちょう)を日英友好のシンボルとして帰郷させたい」とプロジェクトを始め、依頼を受けたウェールズ国立植物園は、無償で「挿し木」の技術で苗木約15株を育てた。

 旧軍港都市の広島県呉市の新原芳明市長のコメントを同市文化スポーツ部の神垣進部長が代読し、「今年から来年は呉鎮守府が開庁して130周年。植樹にふさわしい年の帰還を祝いたい。日英友好の歴史の証人として、長く引き継いでいきたい」と述べた。

 苗木は日本郵船関連会社の郵船ロジスティクスが無償で空輸し、同植物公園が日本の土壌に順応、養生させた後、来年4月末から5月、呉市、京都府舞鶴市、長崎県佐世保市、神奈川県横須賀市のほか東郷元帥の出身地、鹿児島市や東郷神社(東京都渋谷区)などに移送される。

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング