ヘルスケア

大富豪と多国籍企業が積極的にウイルス対策する理由は 感染拡大放置すれば…

 1月31日付の米CNNや2月3日付の米経済誌フォーチュン(いずれも電子版)などは、マクロ経済の専門家らの試算を引用する形で、今回の新型肺炎の影響により、中国の今年の第1四半期(1~3月)のGDP(国内総生産)が2%引き下げられ、金額にして600億ドル分の成長が失われると報じました。

 中国が世界経済に与える影響は甚大です。例えば、2月5日付の英紙ガーディアン(電子版)は、最大の貿易相手国が中国という豪の準備銀行(RBA、中央銀行)のフィリップ・ロウ総裁のナショナル・プレス・クラブでの発言内容を紹介していますが、ここでロウ総裁は「中国は世界経済の大半を占めており、豪との関係はより密接である」ため、新型コロナウイルスの大流行が豪経済に与える影響は、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の大流行時よりも甚大となる可能性があるなどと明言。

 さらに同紙は、経済格付け会社の試算などを引用し、豪から中国への最も重要な輸出品である鉄鉱石の価格が、新型コロナウイルスのせいでこの1か月で11%も下落したと報道。豪では年間600億ドル以上の鉄鉱石を中国に輸出しており、税収の主な源泉であるなどと説明し、さまざまな面で豪の経済に多大な悪影響を及ぼすとの見方を示しました。

 「中国は世界経済の大半を占めている」というロウ総裁の発言を引き合いに出すまでもなく、豪州ほどではないにせよ、何らかの形で中国に経済の面で依存している国は多いはずです。今回の新型コロナウイルスの広がりが各国の経済に与える影響は想像以上ですが、これから本当に恐ろしいことが起きる可能性が高いというのです。

 2月15日付の英紙デーリー・テレグラフ(電子版)などによると、米シアトルで現地時間の2月14日に開かれた米科学振興協会(AAAS)の会議で講演したビル・ゲイツ氏は「このウイルスがサハラ砂漠より南のアフリカやアジアの一部の地域に広がる場合、本当に大変なことになるかも知れない」などと述べ、アフリカ諸国でパンデミック(広範囲に及ぶ流行病)化すれば制御不能となり、1000万人以上の死者が出る可能性がある」と警告したのです。

 ゲイツ氏は、この新型ウイルスはエボラ出血熱より死亡率は低いものの、広がり方ははるかに速いことを強く懸念し、「この病気がアフリカで発生した場合、中国で発生した場合よりも大変なことになります。今、中国で起きていることを矮小化してはならない」と警告しました。

 想像するだけで恐ろしいことですが、1月28日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)などは、一般市民が新型コロナウイルスに効くワクチンの接種を受けられるようになるには、数カ月から1年はかかるとの見方を報じています。

 2003年に大流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の場合、ヒトで臨床実験できるワクチンができるまでに20カ月かかりました。2015年のジカウイルスではこれが半年に短縮されました。各国の医療関係者は、今回の新型コロナウイルスでは、これを3か月に短縮したいと考えていますが、そううまくはいかないようです。

 ちなみにビル・ゲイツ氏が米科学振興協会(AAAS)の会議で講演してから数時間後、エジプトのカイロで新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されました。いよいよアフリカでも大流行するのでしょうか…。(岡田敏一)

【プロフィル】 岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当を経て大阪文化部編集委員。ロック音楽とハリウッド映画の専門家、産経ニュース( https://www.sankei.com/ )で【芸能考察】【エンタメよもやま話】など連載中。京都市在住。

 ■ご意見、ご要望、応援、苦情は toshikazu.okada@sankei.co.jp までどうぞ。

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング