ライフ
改善する介護ある実感 95歳「シニアマーメイド」の夢に伴走
十数年ぶりの水泳。松岡さんは、家族に水着を持ってきてもらい、試着して準備を整えた。本人も周囲も、「本当にプールに行くんだ」と気持ちが盛り上がった。
11月のよく晴れた午後。スタッフと家族が同行してプールへ。水の中では体が軽い。スタッフからは「あんなに泳げるんだ」と驚きの声が上がったという。
松岡さんは当日を振り返り、「泳げるかしら、と思っていたけれど、泳げました」と満足げだ。「歩行練習中は動かずにいたい日もあった。でも、精神的にも肉体的にもサポートしてもらった。やる気の出る指導法と、元に戻りたい気持ちが合致することが大切ね」と、元指導者らしい感想を漏らす。
介護職が提案する目標は相手次第だ。それぞれのかけがえのない思い出が動機になる。白石さんは「ディズニーランドに行きましょう、ということもあるし、初詣に行きましょう、ということもある。屋外へ出られると、生活がひらけていく」と実感している。